【8月19日 AFP】パソコン世界最大手ヒューレット・パッカード(Hewlett-PackardHP)は18日、パソコン事業の分離・独立を検討中だと明らかにした。収益が伸び悩んでいる個人向けパソコン事業を切り離し、ソフトウェアと法人向け事業に重点を移すという。

 この事業再編に伴いHPは、英ソフトウェア大手オートノミー(Autonomy)を102億4000万ドル(約7800億円)で買収すると発表。また、7週間前に市場投入したばかりのタブレット型PC「タッチパッド(TouchPad)」や、買収した米パーム(Palm)のウェブOS(Web OS)を搭載した携帯電話事業について、「事業達成目標と財務目標を満たせていない」として打ち切る方針も明らかにした。

 個人向けパソコン事業の分離の形態については、全事業または一部事業の分離、別会社化などを含めて現在検討中という。事業再編の完了は1年~1年半後となる見通し。

 パソコン市場は、スマートフォン(多機能携帯端末)やiPadなどタブレット型PCの爆発的な人気の影で、売り上げが伸び悩んでいる。HPの5~7月期決算で、パソコン部門の収益は3%減、営業利益率は5.9%だった。このうち、法人向けが9%増だったのに対し、一般個人向けは17%も減少した。

 他社との競争が激化する中、HPの株価は今年に入って低迷しており、収益性の低いHPのパソコン事業を切り離す可能性が噂されていた。

 独ソフトウェア大手SAP出身で前年11月に就任したレオ・アポテカー(Leo Apotheker)HP最高経営責任者(CEO)は、事業の軸をソフトウェアに移すと述べ、特にインターネット上でアプリケーションやデータストレージを提供するクラウドサービスに力を入れると語った。

 同CEOは1996年設立のオートノミーの買収についても、法人向けに大型データベース用の検索・管理ソフトウェアを提供する点が、HPの新戦略に合致していると説明している。(c)AFP/Chris Lefkow

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