【6月2日 AFP】グーグル(Google)がソーシャルネットワークの流行に乗り遅れた責任は、自分にある――エリック・シュミット(Eric Schmidt)会長は5月31日夜、米カリフォルニア(California)州ランチョパロスベルデス(Rancho Palos Verdes)で開かれたIT業界の会議「All Things Digital」で、このように述べた。

 今年4月に共同創業者のラリー・ペイジ(Larry Page)氏に後を譲るまで同社最高経営責任者(CEO)を務めたシュミット氏は、グーグルのサービスを「ソーシャル化」させる波を逃したことについて、「わたしがひどい失敗をした」と告白し、自身の責任だとの認識を明らかにした。

 その一方で、グーグルは「検索エンジンと広告だけの企業」ではなく「クラウドコンピューティングの企業」だとの見方を示し、動画共有サービスをグーグルにとって最も成功した企業買収の1つに挙げた。

 また、インターネット業界で最も巧みに「プラットフォーム戦略」を展開している4企業として、グーグル、アマゾン・ドットコム(Amazon.com)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)の名を並べたが、マイクロソフト(Microsoft)はこの中に入れなかった。

 シュミット氏は、ソーシャルネットワークサービス(SNS)の成功に感銘を受け、フェイスブックと提携しようと精力的に動いていたことも明かした。長年、インターネットには個人のニーズに合わせたサービスを可能にするオンライン上の身元確認機能が欠けていると感じていたという。

 会長就任後はグーグルの対外的な顔としての役割が大きくなり、政府や議員との折衝も増えたシュミット氏は、中国のファイアーウォールを引き合いに出して、インターネットの自由を脅威と感じる各国政府がインターネット上に「壁」を築き、ネットを分断してしまう事態への懸念を示した。市民を監視するデータベースなどに利用される恐れがあることから、「顔認識技術」の開発を中止させたことを明らかにした。グーグルが自社開発した技術を中止したのは、これだけだという。

 またシュミット氏は、来年再選を目指すバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の選挙運動に参加する可能性に言及する一方、「ひつぎを社内に置いてもらえれば、死後もそのあたりにいるんだが」と述べ、今後も長くグーグルにとどまりたいとの意向を示した。(c)AFP