【3月23日 AFP】中国国外のインターネット企業やアナリストらによると、中国当局が、自国のウェブ検閲システム「万里のファイアウオール(Great Firewall of China)」の「抜け穴」をなくす対策を積極的に行っているとみられる。

 中国当局は、政府が脅威とみなす情報や発言を遮断するために「万里のファイアウオール」と呼ばれる検閲システムを運用し、これを絶え間なく拡張している。

 米グーグル(Google)の電子メールサービス「Gメール(Gmail)」は深刻な障害を受けており、ほかにも、中国国内から当局のアクセス遮断を回避するために活用されているVPN(バーチャルプライベートネットワーク)サービスも障害を受けている。

 Gメール利用者からは数週間前から接続が困難になったとの苦情が相次いでおり、ホットメール(Hotmail)やヤフー(Yahoo!)メールなどのサービスに乗り換えるユーザーも出ているという。

 グーグルはこの問題について、中国政府に責任があると指摘しており、「徹底的に調査したが、われわれの側に技術的な問題はなかった。これは、Gメールの側に原因があるかのように慎重に装った中国政府による遮断だ」と、AFPに宛てた声明で述べた。

 中国では、中東・北アフリカでの反体制デモに触発されて、毎週日曜日に「ぶらぶらと歩く」抗議行動を呼びかける「ジャスミン集会」と称したインターネット運動が活発になっているが、これに呼応するようにインターネットで障害が発生しており、反体制運動を芽の内に摘み取っておこうとする中国当局の姿勢が示唆されている。

 北京(Beijing)を拠点にする政治評論家のラッセル・レイ・モーゼズ(Russell Leigh Moses)氏はAFPの取材に「中国当局は、組織的抗議行動に対して技術的手段で対処することが可能かどうか、いろいろな新技術を試しているのだ」と説明する。

 また、通信を暗号化して当局のネット遮断に「抜け穴」を提供するVPNサービスのプロバイダーも、障害は中国政府に責任があると非難している。これまでに少なくとも4プロバイダーが中国での障害を報告している。(c)AFP/Marianne Barriaux