【2月20日 AFP】スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末などの急速な普及により、モバイル端末向けの広告市場も急拡大している。モバイル端末にはたいていウェブブラウザがついているため、ユーザーのサイト閲覧記録から、そのユーザーの傾向に合った広告を表示させることが可能だ。

 スペイン・バルセロナ(Barcelona)で14~17日に開かれたモバイル業界の展示会「モバイル・ワールド・コングレス(Mobile World congress)」に参加した各社の代表は、モバイル広告増加に伴うプライバシー保護の必要性について言及した。

■急成長するモバイル広告市場

 スウェーデンの調査会社ベルク・インサイト(Berg Insight)は前年12月、モバイル市場と広告の市場規模は2009年の17.2億ドル(約1430億円)から2015年には135億ドル(約1兆1200億円)規模に拡大するとの見通しを発表した。ベルク・インサイトは、「モバイル機器のパーソナルな性質により、人口動態や関心、習慣などにもとづいて、受け手に関連性の高いメッセージを提供することが可能になる」と広告市場の可能性に触れた。

 ユーザーの個人情報に基づいてメッセージを出すことをどのような事業に認め、どのような事業に認めるべきではないのか。その線引きについて欧米の当局は議論を始めている。

 米無線通信技術大手クアルコム(Qualcomm Inc)のポール・ジェイコブス(Paul Jacobs)CEO(最高経営責任者)は、家族情報などの真にプライベートにしておくべき情報と、交通事故での医療情報などの共有すべき個人情報を区別することが重要だと指摘する。

■「個人情報提供すればするほど利便性は向上」

 一方、共同購入サイト「グルーポン(Groupon)」のミヒル・シャー(Mihir Shah)副社長は、問題は比較的単純だと指摘する。「当社は顧客が提供した情報しか利用しない。顧客が多くの情報を提供すればするほど、当社が提供するサービスは向上する」と語った。

 スペイン通信大手テレフォニカ(Telefonica)のモバイルデーター部門責任者、ターニャ・フィールド(Tanya Field)氏は、顧客の個人情報を大量に持っている携帯事業者の責任が大きいと述べる。「個人情報を保護できる選択肢を(業界が)自主的に顧客に提供できなければ、いずれ規制が課されることになる」とフィールド氏は語った。(c)AFP/Emmanuelle Trecolle