【8月6日 AFP】カナダのリサーチ・イン・モーション(Research in MotionRIM)が開発した人気の多機能携帯電話(スマートフォン)「ブラックベリー(Blackberry)」をめぐり、セキュリティー上の懸念があるとして利用を制限する動きが、中東で広がっている。5日には新たにレバノンが懸念を表明する中、米国は介入の意思を示した。

 問題となっているのは、ブラックベリーの暗号化サービス。通信データがカナダ経由で暗号化して送信されるため、過激派組織や犯罪グループに悪用される懸念があるというのだ。

 サウジアラビアは、RIMが同国の要求を認めなかったとして、6日にもブラックベリーの一部サービスを停止する構え。真っ先に懸念を表明したUAEは、すでに10月11日から規制を開始することを発表した。また、インドでも規制を検討する動きがある。

■治安か、機密か?米国は「バランス」重視

 騒動の拡大を受け、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は5日、ブラックベリーのメッセンジャーやウェブブラウザー、電子メールサービスなどを禁止するUAEの方針について、同国と米国で近く協議する方針を発表した。クリントン長官は「治安に対する懸念があることは知っている」と述べた一方、「自由に使用、アクセスする権利もある」と指摘。問題の把握と分析を進めるとともに、他国とも協議を始めていることを明らかにした。

 また、米国務省のフィリップ・クローリー(Philip Crowley)次官補(広報担当)によると、米政府はRIMとも協議し、高度なセキュリティーへの需要と、情報入手の需要との間の適切なバランスを判断する方針。

 こうした動きに対し、RIMののマイク・ラザリディス(Mike Lazaridis)共同最高経営責任者(CEO)は米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に対し、同社の顧客には大手企業や法執行機関などもおり、通信内容の監視を政府に認めれば顧客との関係を危うくすると反論している。

 米アップル(Apple)のiPhone(アイフォーン)がゲームやSNS、動画閲覧、アプリなどで人気を博したのに対し、ブラックベリーは、機密通信を求めるビジネス・ユーザーを中心に根強い人気を集めている。(c)AFP