アジア各国で熱帯びるiPadの「灰色市場」
発信地:香港
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【5月6日 AFP】アジア市場ではまだ正式に発売されていない米アップル(Apple)の新型タブレットPC「iPad(アイパッド)」が、いわゆる「グレーマーケット(灰色市場)」で盛況だ。シンガポールでもソウル(Seoul)でも、バンコク(Bangkok)や北京(Beijing)でも、すでに販売されている――それも米国における価格に大幅に上乗せされて。
「米国から取り寄せているんだ」と、香港(Hong Kong)の電気街、旺角電脳中心(Mongkok Computer Centre)にある店の店員。AFPの取材に対し、「欲しいなら早く買った方がいいよ。アップルはクレジットカード1枚につき2台しか売らないからね、いつまで商品が入手できるかわからないよ」と語った。
この店では、標準機種の16ギガバイトモデルを「1日以内に」15台用意できるという。価格は1台あたり米ドル換算で約730ドル(約6万9000円)。別の店の店員は、同モデルを「30分以内」に最大30台用意でき、価格は710ドル(約6万7000円)だと話した。同機種の米販売価格499ドル(約4万7000円)だ。
マレーシア・クアラルンプール(Kuala Lumpur)やタイ・バンコクでも、たくさんのiPadが似たような価格で売られている。
■横行する転売、売り込む米国人も
こうした販売店のほとんどは、米国の小規模な小売店でiPadを購入し、個人輸入したディーラーから商品を仕入れている。先週1週間で70台のiPadを売りさばいたというマレーシアのディーラーは、「iPadを売ること自体は違法じゃない。アップルがマレーシアで発売しないというなら、われわれが販売を続けるだけだ。需要はものすごくあるんだ」と述べた。
iPad転売に関わるのは地元業者だけではない。バンコクで出会った2人の米国人は、iPadを4つ入れたバッグを持っていた。グレーマーケットの盛況ぶりに期待して米国から持ち込んだのだ。「1台あたり100~150ドル(約9000~1万4000円)のもうけが出る予定だ。その金で自分用に1台買うつもりさ」
「持ち込むのは大変だったよ。購入費用も3000ドル(約28万円)かかったしね」「リスクも負っているんだ。税関で止められでもしたら関税を払わなきゃいけなくなる。そうしたら利益が吹っ飛んじまう」と2人。
■アップルにも責任が?
グレーマーケット興隆の背景には、iPadが米国内のオフィシャルショップでしか入手できないという事情がある。アップルが海外での発売を遅らせていることが非正規の流通を促進していると指摘するディーラーもいる。
たとえば、中国におけるアップル製品のグレーマーケットは、携帯電話端末「iPhone(アイフォーン)」需要の高さにけん引されて発展してきたのだが、iPhoneの中国での正式発売は前年10月。米国で発売されてから2年以上も遅れている。
そもそも、iPadが製造されているのは中国や台湾の工場だ。つまり、北京や台北(Taipei)で売られているiPadは、長い旅路を経て故郷に戻ってきたことになる。台北の電気店の主人は「毎日、売っているかどうか客から聞かれるよ。iPad人気は今までのアップル製品の中でもいちばんだ」と語った。
こうしたグレーマーケットの存在について、アップルはAFPの取材に対しコメントを避けた。
iPadは、5月下旬に日本とオーストラリアで正式デビューする予定だが、残りのアジア太平洋地域の人々は今後も待ち続ける必要がある。いつまで待てばよいか、アップルはまだしばらくは明らかにしないだろう。(c)AFP/Adrian Addison
「米国から取り寄せているんだ」と、香港(Hong Kong)の電気街、旺角電脳中心(Mongkok Computer Centre)にある店の店員。AFPの取材に対し、「欲しいなら早く買った方がいいよ。アップルはクレジットカード1枚につき2台しか売らないからね、いつまで商品が入手できるかわからないよ」と語った。
この店では、標準機種の16ギガバイトモデルを「1日以内に」15台用意できるという。価格は1台あたり米ドル換算で約730ドル(約6万9000円)。別の店の店員は、同モデルを「30分以内」に最大30台用意でき、価格は710ドル(約6万7000円)だと話した。同機種の米販売価格499ドル(約4万7000円)だ。
マレーシア・クアラルンプール(Kuala Lumpur)やタイ・バンコクでも、たくさんのiPadが似たような価格で売られている。
■横行する転売、売り込む米国人も
こうした販売店のほとんどは、米国の小規模な小売店でiPadを購入し、個人輸入したディーラーから商品を仕入れている。先週1週間で70台のiPadを売りさばいたというマレーシアのディーラーは、「iPadを売ること自体は違法じゃない。アップルがマレーシアで発売しないというなら、われわれが販売を続けるだけだ。需要はものすごくあるんだ」と述べた。
iPad転売に関わるのは地元業者だけではない。バンコクで出会った2人の米国人は、iPadを4つ入れたバッグを持っていた。グレーマーケットの盛況ぶりに期待して米国から持ち込んだのだ。「1台あたり100~150ドル(約9000~1万4000円)のもうけが出る予定だ。その金で自分用に1台買うつもりさ」
「持ち込むのは大変だったよ。購入費用も3000ドル(約28万円)かかったしね」「リスクも負っているんだ。税関で止められでもしたら関税を払わなきゃいけなくなる。そうしたら利益が吹っ飛んじまう」と2人。
■アップルにも責任が?
グレーマーケット興隆の背景には、iPadが米国内のオフィシャルショップでしか入手できないという事情がある。アップルが海外での発売を遅らせていることが非正規の流通を促進していると指摘するディーラーもいる。
たとえば、中国におけるアップル製品のグレーマーケットは、携帯電話端末「iPhone(アイフォーン)」需要の高さにけん引されて発展してきたのだが、iPhoneの中国での正式発売は前年10月。米国で発売されてから2年以上も遅れている。
そもそも、iPadが製造されているのは中国や台湾の工場だ。つまり、北京や台北(Taipei)で売られているiPadは、長い旅路を経て故郷に戻ってきたことになる。台北の電気店の主人は「毎日、売っているかどうか客から聞かれるよ。iPad人気は今までのアップル製品の中でもいちばんだ」と語った。
こうしたグレーマーケットの存在について、アップルはAFPの取材に対しコメントを避けた。
iPadは、5月下旬に日本とオーストラリアで正式デビューする予定だが、残りのアジア太平洋地域の人々は今後も待ち続ける必要がある。いつまで待てばよいか、アップルはまだしばらくは明らかにしないだろう。(c)AFP/Adrian Addison