【4月9日 AFP】来月6日に迫った英総選挙。与党労働党(Labour Party)と最大野党保守党(Conservatives)の大接戦が予想されるなか、両党はオンラインの武器を最大限に活用して選挙戦を有利に運びたい考えだが、一部の専門家は、こうした技術が裏目に出る恐れがあると警告している。

 フェースブック(Facebook)やツイッター(Twitter)といったツールが重要な役割を担うことになる総選挙は、英国では今回が初めて。前回05年の選挙では、こうしたツールの多くは存在さえしていなかった。

 だが、オンラインツールを使用することにより、候補者はハッキング攻撃を受けやすくなると、識者らは注意を促している。その証拠に、サイト上の宣伝ポスターが別のものに差し替えられるといういたずらが相次いでいる。 

 最近では、英国の巨額の赤字を削減すると宣言している保守党のデービッド・キャメロン(David Cameron)党首のポスターが、掲載直後、小さなネコを掲げて「保守党に一票投じてくれないと、この子ネコを殺すよ」の吹き出しが入った写真に合成されてしまった。

■iPhoneアプリも開発

 両党は、08年の米大統領選におけるバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領のネット戦略を研究した。この選挙では、オンラインツールを通じて草の根的に支持者を増やしていったことがオバマ氏勝利の一因と考えられている。  

 両党とも、支持者と密接につながるためのウェブサイトを立ち上げた。iPhone向けアプリケーションも開発した。保守党は、有権者の投票行動をグラフィックで示す「振り子メーター」なるデバイス。一方の労働党は、自宅から有権者に電話して労働党支持を訴えてもらうための「電話銀行」なるデバイスを開発した。

 保守党は、今や時代遅れの感があるEメールについても、ツイッターやフェースブック、ユーチューブ(YouTube)といったソーシャルメディアプラットホームに誘導できる重要なツールと位置づけている。

■武器の1つに過ぎない?

 英メディアが、ウェブがいかに選挙に影響を及ぼすかを書き立てる一方で、多くの識者は、勝利の決定要因というよりは数ある武器の中の1個に過ぎないと見る向きも多い。

 オバマ大統領の選挙戦で使用されたテクノロジーを提供する米企業Blue State Digitalのロンドン支店長、マシュー・マクレガー(Matthew McGregor)氏は、よく練られた「つぶやき」が勝利の決め手になりうるとの議論を否定している。(c)AFP/Sam Reeves