【3月22日 AFP】犯罪者諸君に警告!――米国では犯罪や脱税の捜査にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が使われており、フェースブック(Facebook)やマイスペース(MySpace)、リンクトイン(LinkedIn)やツイッター(Twitter)上で追跡されているかもしれない。

 公開された米司法省と内国歳入庁(Internal Revenue ServiceIRS、日本の国税庁に相当)の書類で、米連邦捜査局(Federal Bureau of InvestigationFBI)や税務当局が職員に許可している捜査目的でのSNSの利用方法の一部が明らかになった。

 主な内容はIRS職員のためのトレーニング・マニュアルと、「SNSから証拠を集め、使用する方法」と題された司法省のプレゼンテーション用資料で、どちらも2009年のものだ。

 IRSの書類では、SNSで納税者の調査を行う際の偽名の使用は明確に禁じているうえ、一般にアクセスできるサイトからの情報収集は無制限に許可しているが、SNSで納税者の「友人」になるのは本名でも偽名でも禁じている。

 しかし司法省のプレゼン資料には「おとり捜査」と題されたスライドが含まれ、「非公開情報の入手」や「容疑者の人間関係やネットワークを把握する」ためや、犯罪行為の動機を知るためなどに、SNSで「容疑者・捜査対象者とコミュニケーションをとる」おとり捜査を推奨している。

 また大半のSNSでは利用規約で偽名による使用を禁じているが、FBI要員が規約を破った場合の違法性について扱っているページもある。さらにSNSは「アリバイに関わる位置情報の入手」にも使えると説明している。

 また各SNSの協力姿勢について司法省は、フェースブックは「緊急の要請に協力的」、ツイッターは「法律上の手続きを踏まえた場合にしか情報提供しないという方針を明言している」、マイスペースは「181日以内の私的メッセージの照会については捜査令状を要求される」、ビジネス関連の利用で知られるリンクトインは「犯罪者の利用は限られている」などと評価している。

 フェースブックの広報担当、アンドリュー・ノイズ(Andrew Noyes)氏はAFPの取材にメールで応じ、「個人情報の保護を尊重している点はよそのサイトと同じ。責任ある一企業として、ユーザー保護と法執行機関の必要性とのバランスを重んじている。当局からの要請はその要請の理由や、それが適切かどうかをひとつずつ精査し、最低限の情報共有だけを行っている」と同サイトの方針を説明した。

 これらの公開文書は、インターネット上の権利擁護活動などを展開する米非営利団体、電子フロンティア財団(Electronic Frontier FoundationEFF)と、カリフォルニア大学バークレー校(University of California at Berkeley)で法とテクノロジー、公共政策の演習講義を行っているサミュエルソン・クリニック(Samuelson Clinic)が、米情報公開法(Freedom of Information Act)に基づき合同で訴訟を起こして入手したもので、EFFのサイトに掲載された。(c)AFP/Chris Lefkow