米アマゾンと米出版大手マクミラン、電子書籍の価格で真っ向対立
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【2月2日 AFP】米インターネット小売大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)と米出版大手マクミラン(Macmillan)が、誕生したばかりの電子書籍市場の動向をにらみ、アマゾンの電子書籍端末「キンドル(Kindle)」向けの電子書籍の価格をめぐり真っ向から対立している。
米国の6大出版社に数えられるマクミランが、同社のキンドル向け電子書籍の値上げを求めたことを受けて、アマゾンは週末にかけて、マクミランの電子書籍と印刷版の両方の取り扱いを一時的に中止した。
マクミランのジョン・サージェント(John Sargent)社長は声明を発表し、「アマゾンとマクミランはともに、健全で活気のある書籍の未来を求めている」ものの、「そこへの道筋において明確に同意できない」ところがあると述べた。
アマゾンは、2年前に初代キンドルを発表して以降これまで電子書籍市場を独占していたため、出版社に対し販売条件を指示できる立場にあった。
しかし、前年には米書店大手のバーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)が独自電子書籍端末「Nook(ヌック)」を発表、さらには前週、米アップル(Apple)がタブレット型の「iPad(アイパッド)」を発表し、キンドルも競争にさらされている。
キンドルでは現在、電子書籍の需要喚起と売り上げ規模拡大を目指し、新著とベストセラーの電子版を9.99ドル(約900円)で販売している。これに対し、マクミランのサージェント氏は、12.99~14.99ドル(約1200~1400円)の価格帯で新著やベストセラー書籍を販売したい意向をアマゾンに示した。
これを受けて、アマゾンは、マクミランの書籍を一時的に取り扱い中止にした。しかし、アマゾン側は、この要求を将来的には受け入れざるをえないだろうと、キンドル関係のウェブサイトで漏らしている。
「強い反対の姿勢、そしてわれわれが真剣であることを伝えるため、一時的にマクミランの全書籍の取り扱いを中止した。しかし、最終的には、マクミランの提示する条件に屈服し、受け入れざるをえないだろう」(アマゾン側の投稿)
サージェント氏は、3月初頭までにはマクミランの書籍を値上げすることになると語った。
■値上げは短期的に損失、長期的には?
米作家協会(Authors Guild)のポール・エーケン(Paul Aiken)代表は、マクミランが値上げをすれば他出版大手5社も値上げに踏み切るだろうと予測する。しかし、値上げは、出版社の売り上げ増に必ずしも結びつかないという。
アマゾンは現在、キンドル版の電子書籍を印刷版の50%の卸値で買って、それを9.99ドルで販売している。新著や単行本の多くは20ドル以上するため、アマゾンは新著や単行本の販売では赤字を出していることになる。
仮に、売り上げの30%をアマゾンの取り分とする新たな方式が実現し、電子書籍の価格を12.99~14.99ドルに値上げした場合、出版社の売り上げは少なくとも短期的には減少することになる、とエーケン氏は指摘する。
エーケン氏は「しかし、サージェント氏の行動は、長期的なゲームに基づいている」と述べる。
「赤字を出してまで書籍を販売するアマゾンの方針がいつまでも続かないことは誰でも分かることだ。アマゾンは現在、キンドル販売と顧客ベース獲得のためには、電子書籍で赤字を出してもよいという方針だ。しかし、その方針はいつまでも続かないし、いつ終わるのかについてもすべてアマゾン次第という状態だ」(ポール・エーケン米作家協会代表)
エーケン氏は、「アマゾンが十分な市場規模の確保を終え、出版社に販売条件を指図できるようになったときには、(出版社への)締め付けが始まるということはすでに誰もが気づいていることだ」と指摘した。(c)AFP/Chris Lefkow
米国の6大出版社に数えられるマクミランが、同社のキンドル向け電子書籍の値上げを求めたことを受けて、アマゾンは週末にかけて、マクミランの電子書籍と印刷版の両方の取り扱いを一時的に中止した。
マクミランのジョン・サージェント(John Sargent)社長は声明を発表し、「アマゾンとマクミランはともに、健全で活気のある書籍の未来を求めている」ものの、「そこへの道筋において明確に同意できない」ところがあると述べた。
アマゾンは、2年前に初代キンドルを発表して以降これまで電子書籍市場を独占していたため、出版社に対し販売条件を指示できる立場にあった。
しかし、前年には米書店大手のバーンズ&ノーブル(Barnes & Noble)が独自電子書籍端末「Nook(ヌック)」を発表、さらには前週、米アップル(Apple)がタブレット型の「iPad(アイパッド)」を発表し、キンドルも競争にさらされている。
キンドルでは現在、電子書籍の需要喚起と売り上げ規模拡大を目指し、新著とベストセラーの電子版を9.99ドル(約900円)で販売している。これに対し、マクミランのサージェント氏は、12.99~14.99ドル(約1200~1400円)の価格帯で新著やベストセラー書籍を販売したい意向をアマゾンに示した。
これを受けて、アマゾンは、マクミランの書籍を一時的に取り扱い中止にした。しかし、アマゾン側は、この要求を将来的には受け入れざるをえないだろうと、キンドル関係のウェブサイトで漏らしている。
「強い反対の姿勢、そしてわれわれが真剣であることを伝えるため、一時的にマクミランの全書籍の取り扱いを中止した。しかし、最終的には、マクミランの提示する条件に屈服し、受け入れざるをえないだろう」(アマゾン側の投稿)
サージェント氏は、3月初頭までにはマクミランの書籍を値上げすることになると語った。
■値上げは短期的に損失、長期的には?
米作家協会(Authors Guild)のポール・エーケン(Paul Aiken)代表は、マクミランが値上げをすれば他出版大手5社も値上げに踏み切るだろうと予測する。しかし、値上げは、出版社の売り上げ増に必ずしも結びつかないという。
アマゾンは現在、キンドル版の電子書籍を印刷版の50%の卸値で買って、それを9.99ドルで販売している。新著や単行本の多くは20ドル以上するため、アマゾンは新著や単行本の販売では赤字を出していることになる。
仮に、売り上げの30%をアマゾンの取り分とする新たな方式が実現し、電子書籍の価格を12.99~14.99ドルに値上げした場合、出版社の売り上げは少なくとも短期的には減少することになる、とエーケン氏は指摘する。
エーケン氏は「しかし、サージェント氏の行動は、長期的なゲームに基づいている」と述べる。
「赤字を出してまで書籍を販売するアマゾンの方針がいつまでも続かないことは誰でも分かることだ。アマゾンは現在、キンドル販売と顧客ベース獲得のためには、電子書籍で赤字を出してもよいという方針だ。しかし、その方針はいつまでも続かないし、いつ終わるのかについてもすべてアマゾン次第という状態だ」(ポール・エーケン米作家協会代表)
エーケン氏は、「アマゾンが十分な市場規模の確保を終え、出版社に販売条件を指図できるようになったときには、(出版社への)締め付けが始まるということはすでに誰もが気づいていることだ」と指摘した。(c)AFP/Chris Lefkow