【1月14日 AFP】中国政府がPCへの搭載を義務化した検閲ソフトが米企業の知的財産権を侵害しているとして、中国側に22億ドル(約2000億円)の賠償を求める訴訟を起こした米国の法律事務所が13日、今週に入り、サイバー攻撃を受けていると発表した。

 サイバー攻撃の被害を明らかにしたのは米カリフォルニア(California)州のギプソン・ホフマン・パンシオーネ(Gipson Hoffman & Pancione)法律事務所。11日以降、「トロイの木馬」が仕掛けられたプログラム実行形式のファイルを開かせようとするメールを受け取っている。

 同事務所は声明で、「トロイの木馬が仕組まれたメールは特に、標的とするコンピューターからデータを盗んだり、外部からコンピューターや企業のサーバーに不正アクセスするために作られている。そうした試みが今のところ成功しているのかどうかはまだはっきり分からない」と述べた。

 この法律事務所は前週、カリフォルニアの企業、サイバーシッター(Cybersitter)の代理人として中国政府を相手どり訴えを起こした。
 
 訴えは中国が国内で販売されるPCに搭載を義務づけた検閲ソフト「グリーンダム(Green Dam)」に、サイバーシッターのペアレンタル・コントロール(親による閲覧制限)ソフトのコードが3000行以上にわたって無断使用されているという内容だ。

 同じ訴訟で、中国のコンピューター製造大手レノボ(Lenovo)や台湾パソコン大手エイサー(Acer)も、この検閲ソフト5600万本以上を流通させたとして訴えられている。

 法律事務所によると、グリーンダムの知財権侵害が最初に報じられた前年6月から、サイバーシッターに対するサイバー攻撃が始まった。そうした攻撃の送信元は中国国内だという。

 今週からのメールによるサイバー攻撃の送信元は特定されていないが、中国の可能性が非常に高いと同法律事務所はみている。(c)AFP/Glenn Chapman