【1月11日 AFP】テレビで番組を視聴しながら同時にインターネットも楽しむ――米国で10日閉幕した世界最大級の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(Consumer Electronics ShowCES)」では、そんな将来の生活スタイルが提示された。

 米ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で開催されたCESには、主要テレビメーカーのすべてがインターネット対応テレビを出展した。また、人気ウェブ企業は競ってこれらの「ネットテレビ」に対応する「ウィジェット(widget)」と呼ばれるアプリケーションを発表した。

■テレビもネットも、欲張りな人には朗報?

 たとえば、テレビの画面上に小さなポップアップ・ウィンドウが出て、番組を見ながらインターネットができるウィジェット。ネット通販最大手アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)や、ネット競売大手イーベイ(eBay)、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)「フェースブック(Facebook)」、DVDレンタル大手ネットフリックス(Netflix)、マイクロブログサービス「ツイッター(Twitter)」、動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」などが提供している。

 米テレビメーカーのビジオ(Vizio)は現在、25~30種類のウィジェットを提供しているが、年内に100種類まで数を増やす予定だ。その後もウィジェットを増加させていくことを目指しているという。

 ビジオやソニー(Sony)、LG電子(LG Electronics)、サムスン(Samsung Electronics)は、テレビ用アプリケーションとして、ヤフー(Yahoo)のウィジェットプラットフォームを使用している。そのヤフーはCESの場を利用して、青島海信電器(ハイセンス、Hisense)やViewSonic、ミップス・テクノロジーズ(MIPS Technologies)、シグマ・デザインズ(Sigma Designs)とのウィジェット分野での提携を発表した。

 関係者は、好きな番組を見ながら簡単なリモコン操作でネットビデオも一緒に見たり、ゲームをしたり、ネットショッピングを楽しんだりできると利点を強調する。

■ネットテレビが家庭の中心に

 すべてのテレビがインターネット対応型になるのもそう遠い未来ではないとの見方を示すのは、米カリフォルニア(California)州シリコンバレー(Silicon Valley)の調査会社エンダール・グループ(Enderle Group)のITアナリスト、ロブ・エンダール(Rob Enderle)氏だ。

 エンダール氏によれば、ネットテレビ分野のこれまでの成長の大部分は、マイクロソフト(Microsoft)の家庭用ゲーム機「Xbox360」のオンラインゲーム用プラットフォーム「Xbox Live」によるもの。Xbox Liveは、ネットテレビを通じてユーザー同士が対戦できるほか、ネットフリックスなどのサービスを通じて映画などをレンタルすることもできる。

 ヤフー・テレビ関連部門のジャンピエール・アベロ(Jean-Pierre Abello)氏は、テレビを通じたインターネットアクセスは、「大画面に加え、画質も良い」という明らかな利点があると指摘する。

 DigitalTrends.comのアナリスト、スコット・シュタインバーグ(Scott Steinberg)氏は、ウェブビデオやオンラインショッピングなどが可能なテレビは「すべての人が利用する双方向メディア」になりつつあるとし、「テレビによってリビングが再び家族のだんらんの場に戻りつつある」と語った。(c)AFP/Chris Lefkow