【11月29日 AFP】韓国で28日、米アップル(Apple)の多機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」が発売された。専門家らは、閉鎖的な市場の恩恵に浴していた同国IT業界に対する警鐘となるとみている。

 首都ソウル(Seoul)の五輪スタジアム前には、少しでも早くiPhoneを手にしようと、数百人が徹夜で列を作った。韓国でiPhoneを販売する携帯電話事業者KTによると、インターネットやマルチメディアが利用できることが受け、事前予約者は6万人にのぼり、販売直後から同国で最も人気のスマートフォンとなった。

 携帯電話業界で同国2位のKTはiPhoneの販売により、最大手SKテレコム(SK Telecom)からシェアを奪えると話している。現在のシェアはSKテレコムが50.5%とKTの31%を大きく上回っている。

 iPhone 3GS(32ギガバイトモデル)の販売価格は、月額基本料4万5000ウォン(約3300円)の顧客は39万6000ウォン(約2万9000円)。月額基本料6万5000ウォン(約4800円)の顧客は26万4000ウォン(約1万9000円)だ。

■閉鎖的な市場に変化

 欧米では爆発的ヒットを記録したiPhoneだが、韓国では「グーグルマップ(Google Maps)」などの位置情報サービスがプライバシー法に違反するのではとの懸念から、発売前に問題となった。通信規制当局は9月、同サービスはプライバシーを侵害しないとして、販売を承認した。

 韓国企業は厳しい貿易障壁に保護される形で成長を続け、サムスン(Samsung)、LGは携帯電話製造でそれぞれ世界2位、3位の座を手にした一方、韓国の携帯電話機の価格は世界一高く、通信料金も世界的に見て高い水準に留まっていた。

 多様なアプリケーションを利用できるスマートフォンが登場すると、すぐに価格競争が起きた。サムスンは最新の最高級モデル、8ギガバイトのタッチスクリーン型携帯電話「Omnia2」の価格を4万4000ウォン(約3200円)引き下げ、92万4000ウォン(約6万8000円)とした。

 韓国のコンピューターウイルス対策ソフト大手、アンラボ(Ahnlab)のKim Hongsun氏は、モバイルのアプリケーションとコンテンツに「パラダイム・シフト」をもたらすとしてiPhoneの発売を歓迎している。(c)AFP/Park Chan-Kyong