【10月2日 AFP】千葉・幕張メッセで前月末に開催された「東京ゲームショウ2009(Tokyo Game Show 2009)」で、AFP記者のインタビューに応じたテツヤさん(19)は、コンピューター・プログラミングを学ぶIT技術に通じた学生だ。米アップル(Apple)の多機能携帯電話iPhone(アイフォーン)は持っていないというテツヤさんだが、iPhoneこそが「手のひら上でゲームを楽しむ新世代」に向けた鍵を握ると確信している。

 学業の一環でiPhone用のゲームを開発中というテツヤさん。「これまでゲームのクリエイティビティはハードウェアに頼るところが大きかったけれど、今売れているゲームというのは、シンプルで、大勢の人が手にできるものなんです」と話す。

 実際、携帯電話や携帯端末用ゲームの人気が急上昇する中、ソニー(Sony)、任天堂(Nintendo)、マイクロソフト(Microsoft)といった大手家庭用ゲーム機メーカーも、競争の激化に直面している。

 今年の東京ゲームショウに展示された758タイトルのソフトウェアのうち、携帯電話向けは去年から倍増した168タイトル。コナミデジタルエンタテインメント(Konami Digital Entertainment)のある幹部は、携帯電話の強みについて、誰でも1台は持っている点を指摘した。
 
 世界的な景気後退のなかで、携帯電話ゲームは開発費が安上がりである点も魅力だ。プレイステーション3(PlayStation 3)やXbox 360用など、コンソールゲームの開発費は数億ドルとハリウッド映画の製作費なみだが、携帯電話用ゲームならば数千ドル規模で済む。

 こうした状況を背景に、アップルの専門オンラインストア「App Store」は、数十万本ものアプリケーションをそろえている。ダウンロード料金が1ドル以下というものもある。1日あたりのダウンロード数は8万回以上という人気だが、あまりの低価格に便乗をためらうクリエイターもみられる。 

 それでも、バンダイナムコホールディングス(Bandai Namco)は携帯電話ゲームの開発強化を目指し、今年の東京ゲームショウにはiPhoneおよびiPod Touch用フライトシューティング「Ace Combat Xi」を出展した。

 ライバルのスクウェア・エニックス(Square Enix)も、年末商戦に向けて複数のタイトルを発売する予定だ。

 ハードウェアメーカーも熾烈な争いを展開する。アップルは前月、iPod Touchの改良版を発表。これに先立ちソニー・コンピュータエンタテイメント(Sony Computer Entertainment)も6月、ニンテンドーDSに対抗する携帯ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(Playstation Portable)」の新モデル、PSP goを発売した。さらには、ソニーがPSPと携帯電話を合体させた「PSPフォン」を開発中とのうわさもある。

 だが、各メーカーがしのぎを削って開発する携帯電話ゲームは、果たして筋金入りのゲーマーたちの眼鏡にかなうのだろうか。こうしたゲーマーの1人と自認するケンジさん(23)は、ロールプレイングゲームをiPhoneで試した後、感想をこう語ってくれた。「操作はやりづらいし、画像は見えにくい。ゲームを楽しむなら、ちゃんとしたゲーム機を買いたいです」(c)AFP/Kimiko de Freytas-Tamura