【7月1日 AFP】30年前の7月1日、ソニー(Sony)が発売した携帯音楽プレーヤー「ウォークマン(Walkman)」は、世界中の人びとの音楽の聴き方に変革をもたらした。しかし、いまやデジタル時代の象徴、「iPod」にその座を奪われている。

 1979年7月1日に発売されたウォークマンは、ソニーを世界的大企業へと変ぼうさせた。発売開始2か月で3万台が売れ、発売から10年で5000万台のウォークマンが売れた。

 しかしながら、30年後の現在、ソニーは、携帯音楽プレーヤーiPodで大成功を収めた米アップル(Apple)などライバル企業との競争を余儀なくされている。

■ウォークマン誕生

 ソニー創業者の1人、故・井深大(Masaru Ibuka)氏は、海外旅行中にウォークマンのアイデアを思いついたという。井深氏は、海外旅行には、携帯プレーヤーというにはあまりに重たいテープレコーダーを使用していた。

 当初、ウォークマンへの反応はあまりよくなかった。多くの販売店が、録音機能の無いカセットプレーヤーは成功する見込みが低いとみていた。しかしウォークマンは売れ行きを伸ばし、現在までの累計販売台数は、最新のフラッシュメモリー搭載モデルも含めると全世界で3億8500万台にのぼっている。

 ソニーによると、「ウォークマン」の名称は、当時映画『スーパーマン(Superman)』が人気があったことと、基となった機種が「プレスマン(Pressman)」という名称だったことから決まったという。ウォークマンは、1986年には「オックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary)」にも収録された。

 ソニーは近年、さまざまなデザインのウォークマンを提供している。ジェリービーンズの形をしたウォークマンは、まずまずの成功を収めた。

 ソニーによると、2008年度(2009年3月期)通年は、前年度の580万台を上回る700万台を販売した。

 しかし、ウォークマンは、アップルの脅威となるまでは至っていない。アップルのiPodは、2001年の発売開始から6年間で1億台を販売し、音楽プレーヤー史上最速記録で販売台数を伸ばしており、現在では2億台を超えている。

 ソニーは、新型のウォークマンXシリーズで巻き返しをねらう。(c)AFP/Daniel Rook