【5月3日 AFP】新型インフルエンザ関連のニュースを伝える電子メールと見せかけて、コンピュータウイルスや怪しげな医薬品の販売広告を送りつけるネット犯罪が横行しており、各国の関係当局が注意を呼び掛けている。

 米食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)は4月30日、「インフルエンザA型(H1N1)を予防または治療できるとする偽医薬品を売りつけるウェブサイトを立ち上げた悪質な業者がいる」として、新型インフルエンザ流行に便乗した詐欺行為への警告を発した。

 コンピュータの使用者に気づかれずに外部から不正に遠隔操作できるようになったコンピューター、いわゆる「ゾンビコンピューター」が今年インターネット上で大きな被害をもたらしているが、コンピューター・セキュリティ企業トレンドマイクロ(Trend Micro)によると、こうしたコンピューターがスパムメールをまき散らしているという。 

 この種のスパムメールには、「新型インフルエンザが大流行」「マドンナ(Madonna)が豚インフルを発症」などといった人目を引く件名がつけられている。これらはハッカーたちが「社会工学」と呼ぶ一種の「戦略」だ。最近猛威をふるっているコンピューターウイルスを使用する複数の犯罪組織がこうしたスパムメールに関与している可能性が高いと米コンピューター・セキュリティ企業マカフィー(McAfee)のデービッド・マーカス(David Marcus)氏は指摘する。

「ブタ」「インフルエンザ」のキーワードを組み合わせて使ったスパムメールは4月27日に急増した。これらのメールの半数がドイツ、ブラジル、米国から送信されたとみられている。

 日本の国立感染症研究所(National Institute of Infectious Diseases)は4月28日、「豚インフルエンザに関する知識」といった名称の添付ファイルが付いた日本語の電子メールがインターネット上に出回っているが、これを通じて医薬品などを注文すると使用者のクレジットカード情報が盗まれるおそれがあると警告した。(c)AFP/Glenn Chapman