【1月29日 AFP】米インターネット検索大手グーグル(Google)は28日、ユーザのブロードバンド接続を遮断したり減速させているインターネット接続業者(ISP)を調べることができるツール、「Measurement LabM-Lab)」の提供を開始した。

 グーグルは、サービス・プロバイダーに特定のユーザーを優遇させることなく、平等な接続環境の提供を主張する「ネット中立性」をめぐる議論の先頭に立っている。

「インターネットの父」として知られるグーグルのビント・サーフ(Vint Cerf )副社長兼チーフ・インターネット・エバンジェリストと、主任エンジニアのスティーブン・スチュアート(Stephen Stuart)氏はウェブサイト上で、「ネット中立性とISPのネットワーク管理業務に関する意見がいかなるものであれ、ブロードバンドに接続しているときに何をされているのか、ユーザーに情報を十分得る権利があることは誰もがうなずける」とコメントした。

 グーグルは米シンクタンク「ニュー・アメリカ・ファンデーション(New America Foundation)」が運営する「オープン・テクノロジー・インスティチュート(Open Technology Institute)」や世界規模のインターネット研究機関プラネットラボ・コンソーシアム(PlanetLab Consortium)、学術研究者らとの協働でM-Labを開発し、研究者たちがインターネット接続に対する操作を検知できるようにした。

 M-Labは28日から3種類の診断ツールと共にオンライン配布が開始された。これらのツールは米カリフォルニア(California)州マウンテンビュー(Mountain View)にあるグーグル本社近くに設置されたサーバー上で管理されており、接続速度の制限や、ISPによってP2Pファイル共有ソフトBitTorrentの妨害や抑制がされていないかなどを診断する。

 米ケーブルネットワーク大手で大手ブロードバンドISPでもあるコムキャスト(Comcast)などが、P2Pファイル共有ソフトなどのトラフィックを密かに減速したり遮断していることが明らかになっており、問題となっている。ISP側は増加するインターネット利用を管理するにはそうした措置が必要だと主張しているが、グーグルなどはそのような措置はインターネットの革新性と成長に足かせになるとして抵抗している。

 M-Labはいまだ初期段階だが、グーグルは年内に欧州および米国内の10か所にサーバーを追加設置し、診断ツールをさらに拡充するとした上で、ツールを使った診断結果を公表するとしている。(c)AFP