【11月21日 AFP】親たちは息子や娘がインターネットに費やす時間が長すぎると不満に思いがちだが、実際はインターネットがティーンエージャーたちの社会性やIT技術習得に役立っているとした米民間団体の調査結果が20日、発表された。

 米民間助成団体、マッカーサー財団(MacArthur Foundation)が実施した調査は、米国の10代の若者のネット使用状況に関するものとしては、かつてない大規模なものだ。

 南カリフォルニア大学(University of Southern California)やカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の研究員らが、800人を超える全米各地のティーンエージャーとその親たちを、インタビューを通じて3年間にわたって追跡調査した。

 さらに、ティーンエージャーがマイスペース(MySpace)やフェースブック(Facebook)などのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)や、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)などのサイトを利用しているときの行動を5000時間にわたって観察した。

 その結果、子どもたちがオンラインの世界に参加することを通して現代のIT社会で生きて行くうえで必要な技術的、社会的なスキルを身につけている実態が浮かび上がったという。

 調査を主導したマッカーサー財団のミズコ・イトー(Mizuko Ito)氏は、「親たちにはインターネットは危険だとか時間の無駄との思いこみがあるが、デジタル時代を生き抜くために必要な社会性やITスキルを身につけるために、若い世代にとってインターネットは欠かせないものだということが分かった」と語った。

 この調査では子どもたちのネットでの活動を「友達中心型」と「興味中心型」の2タイプに分類した。「友達中心型」はすでに友達になっている子どもたちがネットで一緒に遊ぶもので、「興味中心型」は、自分の関心ある情報を検索したり、共通の関心事項をもつ仲間と接触するなど身近な知人の輪を超えた活動が特徴だ。調査を行った研究者らはティーンエージャーたちはオンラインコミュニティの仲間たちから学ぼうという意欲があり、彼らにとってネットが「人と交流し、人の意見に耳を傾ける新たな公の場」になっていると分析している。

 その一方で、子どもが公開したコンテンツやメッセージ、そして子どもの個人情報は想定した範囲を超えて不特定多数の人の目に触れる可能性があり、一度ネットに流出すると完全に削除することは事実上不可能であることから、子どもたちはネット上で自分たちをどう見せるか、あるいはネットでの人間関係をどう維持するかという新たな問題に直面していると指摘している。

 調査結果はマッカーサー財団のウェブサイトで公開されている。(c)AFP


参考リンク:マッカーサー財団のウェブサイト(英語)