【11月10日 AFP】米IT産業の中心地であるカリフォルニア(California)州のシリコンバレー(Silicon Valley)は、次期米大統領に選出されたバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員がインターネット産業の自由と革新を擁護する米国初の「ハイテク大統領」となってくれるだろうと期待をかけている。

 オバマ氏の歴史的勝利は、米国初のアフリカ系大統領という面だけでなく、テクノロジーに明るい政治家が初めて国の舵を取るという意味でも画期的だ。

 シリコンバレーに拠点を置く米調査会社エンダール・グループ(Enderle Group)のアナリスト、ロブ・エンダール(Rob Enderle)氏は「オバマ氏はテクノロジー好き。テクノロジーを効果的に生かしたことが、選挙戦をあれだけうまくやり遂げた一因ともいえる。『ハイテク大統領』の誕生だ」と語った。
 
 政治資金の市民監視団体Center for Responsive Politicsの報告書によれば、シリコンバレーのIT企業がオバマ陣営に寄付した献金の額は、共和党ジョン・マケイン(John McCain)陣営に対する献金の5倍にも上った。選挙投票日までにシリコンバレー企業とその従業員の約91%がオバマ支持を表明したとも報じられている。前述のエンダール氏は「ハイテク産業が求めていた大統領だ」と諸手を挙げて歓迎している。

 検索エンジン大手グーグル(Google)の本社を訪れた際、オバマ氏は、ネットの中立性を擁護し、全国民にブロードバンド接続を提供することを約束した。エリック・シュミット(Eric Schmidt)グーグル最高経営責任者(CEO)とともに壇上に上がったオバマ氏は「自由で完全な情報交換を保証する必要があり、それはオープン・インターネットから始まる」と述べた。

 グーグル・ファンたちとの対話では、大統領に就任後の最優先課題として、クリーンエネルギーの開発と並んで、医療記録の電子化などテクノロジーを利用した国民皆保険の実現を挙げた。

 またオンライン上でより多くの政府情報を公開し、国民が国の事業や法制定について閲覧したり、意見を寄せることができるようにすると約束した。さらに米国初の技術長官を任命する可能性についても触れた。
 
 また、オバマ氏はインターネット企業がエンジニアなど有能な海外の人材を雇用しやすくできるよう、入国管理規則の全面的な改革も掲げた。将来のトップ・エンジニア、トップレベルの科学者たちを「ここアメリカで」育てるために、教育システムの向上に献身する、と宣言したオバマ氏は、聴衆から大喝采を浴びた。(c)AFP/Glenn Chapman