【11月5日 AFP】米コンピューター大手ヒューレット・パッカード(Hewlett PackardHP)は3日、データセンターの消費電力を削減しつつ処理能力の向上を目指ざす新サービスを発表した。

 HPは「グリーン・ビジネス」戦略を拡大する。業界の流れに基づき、消費電力を削減し、電力生産によって発生する気候変動を引き起こすガスの排出量と併せ、コストの削減も目指す。

 同社のサーマルロジック・テクノロジーでは、データセンターで使用するコンピューター・サーバーの台数を3倍に増加する一方で、サーバー1台あたりの消費電力を25%削減することが可能になる。効率性のより高いプロセッサーと変圧器、冷却システム、さらに各サーバーに割り当てられた電力量を正確に制御できるソフトウエアを組み合わせた。

 また、同社が吸収合併したデータセンター関連のコンサルティングを手掛けるEYPミッション・クリティカル・ファシリティーズ(EYP Mission Critical Facilities)が開発した分析ツールを使用し、データセンターを調べて電力がどこで浪費されているかを特定する。

 現存のデータセンターの処理能力を高め、また寿命を延長させることで、新たな施設を作る必要性を回避したり遅らせたりすることが可能となり、環境のみならず企業の懐にも優しくなる。データセンターの新設には、コンピューターの費用を除いて2-3億ドル(約2-300億円)かかるという。

 業界の統計によると、フォーチュン(Fortune)の上位2000にランクされている企業の半数以上で、データセンターのコストはコンピューターのハードウエアよりも電力に費やされており、その消費電力量は小規模な町を上回る。さらに、データセンターで使用される電力の約半分は冷却システムに使用されている。

 ITリサーチ企業ガートナー(Gartner)は、「グリーンIT」を技術傾向として挙げ、これが近い将来、企業にとって最も「戦略的」になると予想している。業務用コンピューター購買者の推定8割が、環境への影響を考えて購入を決めると述べている。

 データセンターでは、ソーラーパネルや自家用小型発電所などによるオンサイト発電が次第に試みられるようになっている。

 HPのライバル社デル(Dell)は、「地球で最も環境に優しいテクノロジー企業になる」と宣言している。(c)AFP/Glenn Chapman