【10月28日 AFP】インターネット業界の倫理向上を図る米公益団体「民主主義と技術のためのセンター(Center for Democracy and TechnologyCDT)」は、米グーグル(Google)など大手IT企業らと2年がかりで策定した、オンライン上の表現の自由に関する倫理規定が、今週から施行されると発表した。

 グーグルやヤフー(Yahoo)などインターネット検索大手のほか、マイクロソフト(Microsoft)などソフトウエア大手が、数日中にこの規定を採用する。

 この倫理規定は企業らによる自主的な枠組みで、民主主義に関する話題や共産政府への批判が犯罪とみなされる中国のような地域で、自分の意見をオンライン上で表現するユーザーを保護するのが目的だ。

 最初はヤフーが、「課題の多い市場」で事業展開する情報通信グローバル企業のために、行動基準を普及させようと、業界他社や学者、人権団体、投資家らと協議を開始した。同社のジェリー・ヤン(Jerry Yang)最高経営責任者(CEO)は今年ワシントンD.C.(Washington, DC)で、コンピューター・ネットワーク上の権利普及を行った際、「表現の自由か検閲か、合法か違法か、国境か国境の不在か。こうした対立項の間のグレーゾーンはますます広がっている」と現状を語った。

 ヤフーには、オンライン上で自分の意見を発表した中国人ユーザーを、中国政府が反体制的だとして逮捕した際、同政府に協力したことで、オンライン上における人権問題で一気に矢面に立たされた過去がある。グーグルも天安門事件や民主主義などに関する話題を、検索結果から外すよう中国政府に命じられ、応じたことで批判を受けた。

 こうした場合、各IT企業は、中国で営業を続けるためには、中国の法に従わないわけにはいかないと自己弁護していたが、ヤフーのヤンCEOは米政府による政治的解決を求めていた。

 今回導入される規定ではIT各社に対し、政府からの情報提供や検閲の要請の解釈範囲を狭め、最小限の協力に抑えて対処するよう求めている。(c)AFP