【7月13日 AFP】(写真追加)米アップル(Apple)は11日、世界各地で最新型携帯電話「iPhone 3G(アイフォーン3G)」を発売し、世界中の「ガジェット好き」が販売店に押し寄せた。手に入れた人はいずれも喜びを隠さなかったが、アップルiTunesのコンピュータートラブルのため販売開始時間が遅れ発売当日の入手をあきらめた人や、入手したもののすぐには使えない人もいた。

■アクティベーションに問題

 米国でiPhoneのサービスを独占的に提供している米通信大手AT&Tは、iTunesのコンピューターのトラブルは全世界に影響を与えたが、顧客がiPhone 3Gを手にする障害にはならなかったとしている。iPhoneは、ユーザーが電話会社と契約をしていたとしても、iTunesと同期させないと使えないようになっている。

 Appleは、iPhone 3Gを購入した人には店舗でその場でアクティベーションを済ませてもらうよう計画していたが、ソフトウェアのロックを外し、自宅のコンピューターを使って後でアクティベーションしてもらうように計画を変更した。

 AT&T広報のマーク・シーゲル(Mark Siegel)氏は「iTunesの問題だ。われわれにとって素晴らしい1日だった。多くの店舗で売り切れた。興奮している」と語ったが、顧客の中にはiPhoneをすぐ使えないと知って肩をすくめる人や、「悪夢だ」と対応の悪さを批判する人もいた。

■アップルの本国では

 世界で最後にiPhoneが発売されることになったニューヨーク(New York)五番街(Fifth Avenue)のApple Storeでは、従業員が詰め掛けた人々に午前8時に販売を開始すると叫んでいた。

 ニューヨークで最初にiPhone 3Gを手に入れたデービッド・ヨー(David Yoo)さん(24)は「とてもうれしい。母に電話します」と語った。深夜から待っていたというヨーさんは16ギガバイトタイプを299ドルで購入。インターネット接続が高速で、衛星利用測位システム(GPS)機能がついているので購入を決めたという。

 アップルの本社所在地カリフォルニア(California)州クパチーノ(Cupertino)の北に位置するサンフランシスコ(San Francisco)中心部のApple Storeでは約200人が列を作った。発売直後にiPhone 3Gを手に店舗から出てきた人々は、店のコンピューターが壊れ、買ったばかりの携帯電話をアクティベートすることができなかったと口々に語っていた。

■英国は待つのも余裕

 英国・ロンドン(London)のアップルの旗艦店に集まった人々は技術的なトラブルを気にするふうもなく、待つ価値があると語った。

「仕事があるのでもう行きます。仕事がなければ一日中でも待っていいんですけどね。アップルにはいつも待たされているから」と話すのはクリス・モービー(Chris Moorby)さん(26)。アントニオ・グエラ(Antonio Guerra)さん(19)は、「もう19時間も待っているので、もう少し待っても別にたいしたことはありません」とも。

 ロンドン店のスタッフは、技術トラブルの原因は大勢の人が一度にシステムを利用しようとしたために起きたようだと語った。

■アジア太平洋の各地でも

 アジア太平洋地域でもアップルのファンが何時間も列を作った。

 ニュージーランドでは、深夜零時すぎにオークランド(Auckland)、ウェリントン(Wellington)、クライストチャーチ(Christchurch)で発売された。

 東京では1000人を越える人々が夜を徹して列にならんだ。iPhoneが日本で発売されるのは初めてで、ほとんど国民的な話題になった。日本では、新型携帯を最初に手に入れようと数日前から並ぶ人もいた。

 香港では6万人以上がiPhone 3Gを予約したが、発売初日の11日に手に入れられたのは事前に選ばれた約1500人にとどまった。

 南半球のオーストラリアでは、数百人が肌寒いなかシドニー(Sydney)のアップルストアの戸外で夕方を過ごし、深夜零時の開店とともに店に飛び込んだ。最初に店に入ったビジネスアナリストのブレット・ハウエル(Brett Howell)さんは、11時間前に来たときに自分が行列の先頭にいることを知り驚いたという。

「誰も並んでいなかったので驚きました。私はギーク(オタク)だとは思っていないんですが、私がオーストラリアで1番のギークだったということですね」(c)AFP/Luis Torres de Llosa