【5月20日 AFP】米インターネット検索大手グーグル(Google)は19日、米国内のユーザーが医療記録などをオンライン上に保管・管理できるサービス「Google Health」を公開した。

 Google Healthは薬局や医療機関、検査機関などとリンクしており、グーグルのコンピューター上に保存された、処方せんや検査結果、入院情報、病状などの情報を無料で入手することができるという。

 Google Healthでは情報の共有方法の決定権はユーザーにある。例えば、緊急事態に備えて病院と取り決めを結び、救急病棟の医師に医療情報を閲覧させるようにすることができる。また、海外で休暇を過ごす場合は、以前に接種したワクチンでよいのか、新たに接種しなければならないのかチェックが可能になる。

 グーグルはGoogle Healthを使うことで、「糖尿病患者のうちインフルエンザの予防接種を受けたのは何パーセントか」などといったさまざまなデータを個人を特定しない形で収集することができるとしている。Google Healthのプロダクトマネージャー、Roni Zeiger氏によると、Google Healthのページにはグーグルの検索ボックスが置かれ、検索結果に合わせた広告が表示されるという。

 グーグルによると、Google Healthは米国の主要な医療サービス機関と安全なオンラインネットワークを構築しており、このネットワークに加わるために、ソフトウェアの構築に興味を示すほかの医療機関と協力していくことも可能だとしている。

 Zeiger氏によると、心電図などのデータををGoogle Healthに送って心臓発作の兆候がないかオンラインで監視したり、薬を服用する時間に携帯電話にメッセージを送ったりするサービスも可能だという。

 カリフォリニア大学(University of California)のDean Ornish博士は、米国の医療費の約30%が医療情報などの非効率性によるものであり、情報をすばやく入手できるようにすることは、医療の効率改善へ第一歩だと話している。同博士は、グーグルの医療諮問機関の一員でもある。

 一方で、医療データの改ざんや流出などプライバシー保護の観点から懸念する声も上がっている。(c)AFP/Glenn Chapman