スパムメール生誕30周年、進化する技術 変化する動機
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【5月10日 AFP】スパムメールは、ちょうど30年前の1978年5月3日に誕生した。今はなき米DEC社が、西海岸に住む400人に新製品を紹介する「悪意のない」宣伝メールを送ったのが始まりだ。この頃は「スパム」とは呼ばれていなかった。
スパムメールに詳しいブラッド・テンプルトン(Brad Templeton)氏によると、「スパム」の語源はコメディー番組「モンティーパイソン(Monty Python's Flying Circus)」のワンシーンに由来するという。それは、どのメニューにもスパム(ランチョンミートの缶詰)が必ず付いてくるというレストランで、「スパム」という言葉がうんざりするほど繰り返される歌をバイキングの一団が合唱する場面だ。
かくして、スパムには「何度も繰り返されることで人々を大いに困らせるもの」の意味が付されるようになったという。
今日、セキュリティー対策のとられていないメールボックスにはスパムが大量に舞い込むようになっている。グーグル(Google)が運営するGメールでは、アカウントホルダーの受信メール中のスパムの割合は2004年は20%だったのに対し、2008年には4倍の80%にも達しているという。
スパムメールは、この30年間で著しく進化した。当初は、スパムの送り手は受信者の名前をいちいち打ち込まなければならなかったが、今やボットネットと呼ばれるコンピューター群を使うことで、手順ははるかに容易になった。
このボットネットは、セキュリティーの甘い家庭用またはオフィス用PCの全台数の約30%を既にハイジャックしており、遠隔操作により、それらのPCから毎日数千通単位のスパムを送信しているという。
また、スパムの内容と動機も大きく変化した。
スパムメールの始まりは、ナイジェリアの「王族」または今は亡き独裁者の親族を名乗り、隠し持っている多額の現金を海外の口座に一時的に移したいので口座番号を教えてほしいといった内容で、教えてくれたら謝礼を用意する、とも付されていた。
エストニアでは前年、政府と企業の複数のウェブサイトが大規模なサイバー攻撃を受けてダウンするという事件があった。「何があっても知らないよ」とサイバー攻撃をにおわせて金銭を要求する「オンライン総会屋」ともいうべきこうした犯罪でも、スパムの技術が使用されている。
だが、最も一般的なスパムは、ロレックスのレプリカや「ミラクル」ダイエット食品、性器を大きくしたり性欲を増進させたりといった薬の販売をもくろんだものだ。
FBIによると、昨年の全米におけるインターネット詐欺被害者の75%が「スパム」によるもので、その被害総額は2億4000万ドル(約250億円)近くにものぼるという。(c)AFP