【4月10日 AFP】国連難民高等弁務官事務所(UN High Commissioner for RefugeesUNHCR)は8日、インターネット検索大手グーグル(Google)と提携し、イラクやスーダン西部ダルフール(Darfur)などの難民の状況をネット上で見られるようにし、UNHCRの活動に対する啓発に役立てると発表した。

 このサービスは「グーグル・アース・アウトリーチ(Google Earth Outreach)」と呼ばれるプログラムを使い、UNHCR独自のデータや情報を既存の「グーグル・アース(Google Earth)」サービスに「レイヤー」として加えるもの。

 このレイヤーでは、UNHCRが主に難民問題に取り組んでいるイラク、ダルフール、コロンビアの状況を見せるとともに、UNHCRの機構や権限、より広域での活動の概要などを提供する。たとえば、ユーザーがチャドのダルフール難民キャンプのアイコンをクリックすると、ポップアップウインドーが開き、難民の日常生活や歴史のほか、UNHCRが難民の健康や暮らしを保障するために直面している課題などが表示される。

 クレイグ・ジョンストン(Craig Johnstone)国連難民副高等弁務官は、スイス・ジュネーブ(Geneva)の本部で行われたこの新サービスのプレゼンテーションで、技術革新だけでなく、紛争により国を追われるこれまでの難民のパターンに加え、気候変動で発生する経済移民などにより複雑化する難民問題に合わせて、UNHCRは働き方を変えなければならないと強調。「本部をできる限りスリム化し、変化に遅れを取らないように極力努め、より多くの人材を現場に派遣している」と述べた。

「グーグル・アース・アウトリーチ」の責任者レベッカ・ムーア(Rebecca Moore)氏は、目的は多くの人にとって抽象的な概念に焦点をあて、何が問題であるかを直感的に理解できるよう彼らを仮想旅行に連れて行くことだとしている。(c)AFP