【12月17日 AFP】米インターネット検索大手グーグル(Google)は14日、ユーザーが執筆してインターネット上で知識を共有するネット百科事典サービスのテスト運用を開始したと発表した。世界有数の閲覧件数を誇る「ウィキペディア(Wikipedia)」に対抗する。

 「knol(ノール、unit of knowledgeの意)」と呼ばれるこのサービスは、現在特定の執筆者を招待し、テスト運用されている。

 同社の開発部門責任者のウディ・マンバー(Udi Manber)氏は「われわれの目標は、特定の分野に精通した人に信頼できる記事を書くことを促すことだ。有益な知識を持ち、それを共有したいと考えている人は数百万人いて、それにより恩恵を受ける人は数十億人いる」と語る。

 ウィキペディアが、正確な情報を持った人が間違いを訂正するとの信頼の下、誰でも記事の加筆・修正を可能としている一方、グーグルは独自の記事を書く執筆者を募り、執筆者の写真も掲載する。

 マンバー氏は「執筆者が明らかな方が確実にウェブの内容が使いやすくなるだろう。本もニュース記事も科学記事も執筆者が明記してあるのに、なぜかウェブは執筆者の名前を明らかにするという強い基準がないまま発展してきた」と指摘する。

■1つのトピックに複数のページ

 ノールはあらゆる分野をカバーすることが目標だが、グーグル自体は編集や承認にはかかわらず、編集権は執筆者に委ねられる。 

 ウィキペディアが1つのトピックを1つのページに統合している一方、ノールでは1つのトピックについて複数のページが競合することもあり、ユーザーは記事の評価もできるという。

 また、執筆者は各自の記事に広告を付け、収入の一部を得ることも可能だという。グーグルは世界で最も利用されている検索エンジンで、オンライン広告による収入の獲得には定評がある。ウィキペディアのユーザーを引き寄せることで、新たな広告収入が入ることになる。

 世論調査機関、ピュー・インターネット・アンド・アメリカン・ライフ・プロジェクト(Pew Internet and American Life Project)が今年発表したところによると、米国のインターネットユーザーの3分の1以上がウィキペディアを参照しているという。(c)AFP