【8月24日 AFP】オーストラリアのジョン・ハワード(John Howard)首相の官邸職員が、ユーザーが参加・編集するオンライン百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」の同首相に関する不都合な記述を書き換えていた事実が発覚した。24日付けシドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)紙が報じた。首相報道官はハワード首相が職員に書き換えを指示した事実はないと説明している。

■豪政府による書き換えの例

 報道によると、ウィキペディアの記事が首相府のパソコンから書き換えられたのは、全部で126か所。ハワード政権が発表した不法入国者の収容センターへの送致案に関する記述では、「不法移民らは非人道的な状況下に置かれている」との記載に「と言われている」の一言が追加されたもよう。また、ピーター・コステロ(Peter Costello)財務相を中傷する記述などにも書き換えられた形跡があるという。

 ただ、これら126か所の書き換えの多くは、「フリーメーソンは悪魔の仕業」、「イエスは神なり」など、ハワード政権とはまったく無関係なものだという。

 ウィキペディアのデータは、大学院生で自称ハッカーのバージル・グリフィス(Virgil Griffith)さんが開発したプログラム「ウィキスキャナー(Wikiscanner)」を用いて、書き込みが行われたパソコンの特定が可能。

 このほかにも、国防省のパソコンから5000か所にわたって記述が書き換えられていたことも発覚している。

 書き換えられた記述には、豪軍に関する情報やハワード首相が党首を務める自由党(Liberal Part)への否定的なコメントなどが含まれていたという。

■豪国防省はウィキペディアの書き換えを禁止

 こうした報道を受け国防省は24日、省内のパソコンからウィキペディア編集機能へのアクセスをブロックする措置を実施。一方、職員が情報収集の手段としてウィキペディアを閲覧することは引き続き許可した。

 前週には米国でも、中央情報局(CIA)による数百件のウィキペディア書き換えの事実が、ウィキスキャナーにより特定されている。(c)AFP