【7月21日 AFP】赤と黒の丸い駒を市松模様の盤面上で競い合う伝統的なボードゲーム「チェッカー」で、決して負けないコンピューターをカナダのアルバータ大学(University of Alberta)コンピューター科学科の研究チームが開発した。人工知能開発の分野において節目となる同研究結果は、19日付けの米科学誌、「サイエンス(Science)」に掲載された。

 4月に完成の「チヌーク(Chinook)」と名付けられたこのコンピューターは決して負けることがなく、対局相手が全て最善の手を差し続けてきた場合でも必ず引き分けに持ち込める。

 研究チームは、コンピューターの処理・記憶能力を最大限に活用し、人工知能と組み合わせることでチェッカー・コンピューターの開発を試みた。18年間を要した開発期間中、研究チームは世界トップクラスのチェッカー選手の助言に耳を傾け、1日平均約50台、時には同時に200台ものコンピューターにチェッカーをプレーさせ続けたという。

 研究を主導したJonathan Schaeffe教授は、チェッカー必勝法の研究にすっかり熱中してしまったと語り、20年近く続けた研究がついに日の目を見たことに「感激している」と続けた。

 一方、チェッカーよりもさらに複雑なルールを持つチェスでは、手数の組み合わせが天文学的な数字になるため、同様のコンピューターの開発には数世紀を要するとされる。(c)AFP