【7月17日 AFP】インターネット、携帯電話など新たな技術の普及により、中国政府は有害情報の統制に頭を悩ませているもようだ。16日付けの中国英字紙のチャイナ・デーリー(China Daily)が、政府当局者の話として伝えた。

 同紙は情報産業省のWang Guoqing副大臣の談話として、「情報統制が一種の袋小路であることは、これまでに何度となく証明されてきた」と報じた。

 Wang副大臣は、「一部の地方政府では、有害情報の90%が隠ぺい可能で、運悪くメディアに漏れるのは10%程度と考えられてきた」と語り、そうした「有害情報はとにかく隠せばいい」という考え方は現状への認識不足であり、情報の透明性追求に一層努めるべきだと指摘した。

■不都合なニュースは管理、統制が必要

 副大臣はまた、最近発覚した山西(Shanxi)省と河南(Henan)省のれんが工場での強制労働について触れ、悪いニュースは隠ぺいするのではなく、管理、統制することが重要だと指摘。「インターネットで公開されるまで情報を隠ぺいしたことで、山西省政府の立場は余計に苦しいものになった」と語り、適切な情報公開の必要性を訴えた。これらのれんが工場では、数千の人々が何年にもわたって強制労働を強いられていたが、省政府は被害者の親族がインターネット上で問題を訴えるまで、問題を公表することを拒んでいた。

 インターネットや携帯電話が普及するにつれ、中央政府は情報の透明性の確保を強化。そのため、地方政府が不都合なニュースを隠すことはより難しくなっているという。

 一方で、報道の自由を掲げて活動するNGO「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」は、中国政府を「インターネットの敵」と批判している。

 同団体は2月に公表した年次報告で、中国のネット警察は好ましくないサイトを禁止するため、世界中に弾圧的な体制を敷きつつあると指摘している。

 胡錦濤(Hu Jintao)国家主席も1月の演説で、中央政府は新聞やテレビなどのメディアと同様、インターネットに対する統制を強化する方針を示している。(c)AFP