【6月26日 AFP】スタイリッシュなハイテクもの好き待望の携帯電話、iPhoneが29日、米国で発売される。手のひらサイズの端末に、ウェブブラウザや音楽プレーヤーを備え、画面を指で触れて操作する画期的な新製品。おしゃれな製品で定評のある米アップル(Apple)が送り出す、次のヒット商品となりそうだ。

 米国の消費動向調査会社アメリカン・リサーチ・インスティチュート(American Research Institute)のブリット・ビーマー(Britt Beemer)会長は、「iPhoneはここ数年で最大級のヒット商品になるだろう」との見方を示した。

■1年以内に携帯市場1%確保へ

 アップルのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)最高経営責任者(CEO)は1月、「ほかのどの携帯電話よりも、文字通り5年は先行した革命的で魅力的な製品」としてiPhoneを披露。10億台規模の世界携帯電話市場で、1年以内にシェア1%を確保したいという大胆な目標を打ち出した。

 発売に向けた熱狂ぶりをみると、この目標は達成されるかもしれない。当日はiPhoneを売り出す店舗の前に徹夜の行列ができると予想されている。

■高額だが多機能、キーボードなしの新デザイン

 米国ではすでに約2億3000万人が携帯電話を持っている。しかしアップルは、電話もかけられる携帯型ステレオとしてのiPhoneなら、手持ちの携帯電話を捨ててでも乗り換えてもらえるとの期待を寄せる。

 値段は記憶容量4ギガバイトで499ドル(約6万2000円)、8ギガバイトで599ドル(約7万4000円)と、通常の携帯電話の約5倍。それでも消費者の関心がそがれることはなさそうだ。

 iPhoneはポケットサイズの端末に、携帯電話、カメラ、ウェブブラウザ、音楽とビデオ再生など幾つもの技術が詰め込まれている。にもかかわらずキーボードはなく、ほとんどすべての操作は画面を指で触れて行う。アップル直営店170店舗と、米国の通信大手AT&Tで発売予定で、購入するにはAT&Tの2年間の携帯電話サービス契約を結ぶ必要がある。

■躍進続けるiPodに続け

 iPhoneの登場に先立ちアップルは、メディアプレーヤーのiPodで圧倒的な成功を収めてきた。iPodの販売台数はこのほど1億台を突破、「史上最も速いペースで売れた音楽プレーヤー(アップル)となった。さらに先週は、iPhoneの3.5インチディスプレイで、ビデオ共有サイトYouTubeの動画コンテンツを直接再生できるようにすると発表している。

 アナリストの間では、iPhoneが業界を変えるような存在になるとの見方と、高額すぎて多機能携帯端末ブラックベリー(BlackBerry)といった競合製品との競争には勝てないとの2つの見方がある。

 アップルのウェブサイトによると、iPhoneは「革新的な携帯電話、タッチコントロールの付いたワイドスクリーンiPod、そしてデスクトップパソコン並みのメール、ウェブ閲覧、検索、地図機能を持つ画期的なインターネット通信デバイス」で、200万画素のカメラ付き。

 欧州での発売は2007年内がめどとなり、アジアでは2008年になる予定。(c)AFP