【6月20日 AFP】大量のスパム(迷惑メール)を送っていたことから、「スパムキング(Spam King)」の異名で知られたロバート・ソロウェイ(Robert Soloway)被告(27)が5月30日、ワシントン州シアトル(Seattle)で逮捕され、詐欺、個人情報窃盗、マネーロンダリング(資金洗浄)などの罪で起訴された。

 史上最悪のスパマーと呼ばれたソロウェイ被告の人物像は、引きこもりのパソコンおたくの対極にある。洗練されたレストランで食事をし、豪華なパーティーを開き、メルセデス・コンバーチブルに乗っていた彼をキャスリン・ウォーマ(Kathryn Warma)連邦検事補は「ぜいたくな生活をしている詐欺師」と呼ぶ。

 米内国歳入庁(Internal Revenue ServiceIRS)によると、ソロウェイ被告は2003年にワシントン州に引っ越して以来、電子メール詐欺で少なくとも百万ドル(約1億2000万円)を荒稼ぎしたという。

 しかし、シアトルの風光明媚なプゲット・サウンド(Puget Sound)の17階建てマンションにある被告の自宅を捜索したFBI捜査官が目にしたのは、何の変哲もない1台のパソコンだったという。「ハイスペックのパソコンではなかった。ハイスペックのラップトップパソコンでさえなかった」とウォーマ連邦検事補は語った。2つある寝室のうち1つから、ソロウェイ被告はニューポート・インターネット・マーケティング(Newport Internet Marketing)という自身の会社を宣伝する大量のスパムを送信。会社の売り上げを5倍に伸ばしていた。

 迷惑メールは、持ち主が知らないうちに悪意あるソフトウエアに感染した個人のパソコンが構築する「ボットネット」と呼ばれるネットワークを介して送信される。このようなパソコンは「ゾンビ」とよばれ、大量のゾンビパソコンを操るソロウェイ被告のような犯罪者は「ボザダー」などと呼ばれる。
 
 警察は被告のクローゼットから有名ブランドの衣類を発見。大量のスーツ、ジャケット、アルマーニの腕時計、2ダースのサングラスを押収した。

 ソロウェイ被告の逮捕は、ソフトを購入した顧客からの製品に対する苦情がきっかけだった。「人々が彼にお金を払ったからといって、それでうまくいったとは言えない」とウォーマ連邦検事補は語った。

 ソロウェイ被告はネット上の銀行を頻繁に変更し、資金を定期的に引き出していたという。ぜいたくな暮らしぶりに反し、4つの銀行口座の残高は合計5000ドル(約62万円)に過ぎなかったという。

 同被告は2005年にも、スパム絡みの民事訴訟で敗訴してマイクロソフトに700万ドル(約8億6000万円)の賠償金支払いを命じられている。

 同被告は逮捕前、マイクロソフト訴訟に関するインターネット上のチャットルームで、「誰もわたしに触れることはできない」と自信を覗かせていた。「わたしは世界で最も優秀な会計士や全米の弁護士とともに10年以上ビジネスをし、常に勝ち続けてきた。負けるという選択肢はない」(c)AFP/Glenn Chapman