【9月17日 AFP】台湾当局は15日、食材などとして中国本土に密輸される予定だった保護種のカメ2000匹以上を数週間以内に2度も押収したことを受けて、台湾初の「カメの保護区」を設ける意向を発表した。

 台湾の沿岸警備隊は14日、屏東(Pingtung)県南部の港、東港(Tungkang)に停泊していた漁船で、ミナミイシガメとセマルハコガメ計2439匹を発見した。

 中国本土に向かう予定だった同漁船の船長とインドネシア人乗組員3人が逮捕された。この4人には台湾の野生生物保護法に基づき、5年以下の禁錮刑と150万台湾ドル(約500万円)以下の罰金が科される可能性がある。

■希少種のカメ2000匹以上押収、3週間で2度

 沿岸警備隊は先月にも、台湾から出航予定の別の船に積み込まれていた希少種のカメ2626匹を押収した。当局によると、台湾での密輸カメの押収事件としては、これまでで最大規模だという。これらのカメは、中国の富裕層向けの食材や、中国の伝統薬の材料として使用される予定だった。新保護区は10月、首都台北(Taipei)の郊外にある貯水池、翡翠水庫(Feitsui)に設けられる予定だ。

 行政院農業委員会林務局のクアン・リーハオ(Kuan Li-hao)担当官は「この(貯水池)地域での希少種カメの保存は(台湾の他の地域に比べて)すでに比較的良好だ」とAFPに語る。「保護区が設けられれば、密漁を阻止するためのパトロールの強化が見込まれる」  さらに、「冬が近づくにつれて、中国本土、特に南部で、カメの需要が増加する」と同担当官は話した。

 中国本土では野生のカメの個体数が急速に減少しているため、市場価格は台湾の約5倍にまで急騰している。(c)AFP