【9月12日 AFP】夏季における北極の海氷の面積がこれまでにない規模で減少している中、その体積自体も減少していることが、地球観測衛星「クリオサット2(CryoSat-2)」による観測結果で判明した。欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)が11日、発表した。

「クリオサット2」の観測データなどをまとめたプレスリリースによると、今年4月、北極の海氷の層は、過去3年間の観測の中で、最も薄い状態になったという。

 ESAはプレスリリースの中で、スコットランド・エディンバラ(Edinburgh)で開かれたシンポジウムでの、英リーズ大学(University of Leeds)のアンドルー・シェパード(Andrew Shepherd)教授の発言を引用し、「衛星による観測結果から、いくつかの場所で、氷を覆う氷面の層がこれまでにないほど急激に薄くなったことが分かった。しかし実は、過去3年間で夏季と冬季の氷の体積自体が減少している。昨年冬季の終わりの海氷の体積は1万5000立方キロ以下で、夏季へと移行する時期の体積としては過去最少だった。これは冬季の海氷の成長が通常より小さかったことを示している」と述べている。

 北極海に浮かぶ氷は、陸地を覆う氷床と違って、季節によって拡大と縮小を繰り返すが、2012年の夏季における北極の海氷面積は過去最小を記録しており、多くの専門家は、地球温暖化が人為的にもたらされたことを示すさらなる証拠だと指摘している。(c)AFP