【8月16日 AFP】(写真追加)テディベアとアライグマを掛け合わせたような見た目の新種の小動物を、南米アンデス山脈の高地で発見したと、米スミソニアン協会国立自然史博物館(Smithsonian Institution National Museum of Natural History)のチームが15日、 国際動物学誌ズーキーズ(ZooKeys)に発表した。西半球で肉食哺乳類の新種が見つかったのは35年ぶりという。

 膝の上に乗るサイズのこの小動物は、研究チームによると実は長年各地の動物園や博物館で展示され、エクアドルやコロンビアの森林にも生息していたものの、やや大型のアライグマ科の動物「オリンゴ」と同一種だと勘違いされていた。しかし、オリンゴとは繁殖行動を一切せず、何かがおかしいとみて研究を進めた結果、アライグマや中南米産の小動物キンカジュー、オリンゴと同じアライグマ科の最小の種だと判明したという。

「オリンギト」(小さなオリンゴの意)と呼ばれるこの新種動物には、「Bassaricyon neblina」との学名が付けられた。大きな丸い目と小さなかぎ爪を持ち、枝を伝って木から木へと飛び移ることができるオリンギトは、主に果実を餌としているが、昆虫も食べるという。体重は約1キログラム。夜行性で、木の上で生活することを好み、1回の出産で1匹の子しか産まないという。

 研究チームは約10年かけ、博物館にあるオリンギトの標本が採取された場所が、オリンゴの生息地よりも高い海抜1500~2700メートルの高地だったことを突き止めた。DNA分析でも、オリンギトとオリンゴが別の種だとの結果が得られた。

 オリンギトは、オリンゴよりも体が小さく、頭部と歯の形状も異なる。また、オレンジがかった茶色の体毛はオリンゴより長く、密集して生えている。

 研究チームは、野性のオリンギトが今も生息しているかどうか確かめるために南米を訪れ、西アンデス山系の雲がかった高地の森に多数のオリンギトを発見した。

 ただ、研究チームによるとオリンギトの従来の生息地は、既に42%が農地か住宅地として開発されてしまっているという。研究チームのクリストファー・ヘルゲン(Kristofer Helgen)氏は、「アンデスの高地森林帯は危機に瀕した生物が数多く暮らす唯一無二の世界だ。オリンギトが大使となって、エクアドルとコロンビアの高地森林帯に世界が関心を持つようになればうれしい」と話している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN