【8月12日 AFP】絶滅危惧種のアオウミガメが、死に至る恐れのあるプラスチック製品などの人工の漂流ごみを食べてしまう事例がかつてないほどの増加をみせているという研究結果が、米学術誌「コンサベーション・バイオロジー(Conservation Biology)」で発表された。

 オーストラリア・クイーンズランド大学(University of Queensland)の研究チームが発表した研究結果によると、アオウミガメがプラスチックをのみ込んでしまう割合が、1980年代と比較して著しく高くなっているという。アオウミガメは、体長1.5メートルにまで成長し、寿命は80年ほど。

 研究チームは、1900年以前から2011年にかけて収集されたウミガメによる人工ごみの摂取に関するデータを報告している論文のうち、1985年から2012年までに発表された37の論文を分析した。

 それによると、世界に生息するウミガメ7種のうちの6種が、ごみを摂取したことがわかっており、この6種すべてが地球規模で絶滅のおそれのある絶滅危惧類に指定されているという。

 また、アオウミガメがごみを食べてしまう割合は、1985年の約30%から、2012年には50%近くにまで急増したことが明らかになった。研究を率いたクイーンズランド大学のQamar Schuyler氏は「アオウミガメに関しては、ごみを食べてしまう割合が過去25年間で2倍近くになっていることが明らかになった」と9日、AFPに語った。

 プラスチック製品をウミガメや他の海洋生物が食べると、胃がふさがれて餓死したり、腸に穴が開いたりして死に至る場合がある。

 Schuyler氏は、プラスチックごみ自体の毒素や、プラスチックごみが海を漂流している間に吸収した毒素が、そのごみを食べてしまうことによって動物の体内に放出される恐れもあり、「それによって動物がすぐに死ぬというわけではないが、動物の生殖周期などに影響が及ぶ可能性があり、それにより長期的な影響が生じる」と説明している。

 また、大量のプラスチックを摂取した状態で浜に打ち上げられるウミガメは必ずしも、最も汚染がひどい地域や人口が多い地域で発見されるわけではないことが、過去のデータで明らかになっているという。

 さらに同氏は、「すなわち、ウミガメは通常、死んで打ち上げられる場所から遠く離れたどこかで、そうしたごみを食べてしまっているということだ」、このことから、この問題に対処するためには地球規模の対応が必要だと付け加え、「われわれが本当こと考える必要があるのは、ごみが海に流出するのを阻止するための大規模な活動だ」と指摘した。(c)AFP