北極圏の永久凍土からのメタンガス漏出は「経済時限爆弾」 、研究
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【7月25日 AFP】北極圏の永久凍土の海岸線の融解によるメタンガスの大量放出は、世界の気候と経済に壊滅的な打撃を与えるかもしれないとの論文が24日、英科学誌ネイチャー(Nature)で発表された。
この強力な数百億トンもの温室効果ガスは、北極海(Arctic Ocean)の浅い凍結した棚に閉じ込められているが、温室効果ガスの影響で夏の海氷が後退すると、この凍土の温度が上昇する。
研究チームは、500億トン(50ギガトン)のメタンガスが10年間にわたって、北極海の北東ロシア沖200万平方キロを覆う東シベリア海(East Siberian Sea)底から漏れ出していると仮定したモデルを作成した。
「このメタン放出は、地球の平均温度上昇幅が2度を超過する時期を、15年から35年早めることになるだろう」と英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の経営大学院、ケンブリッジ・ジャッジ・ビジネス・スクール(Cambridge Judge Business School)のクリス・ホープ(Chris Hope)氏は指摘する。
オランダ・ロッテルダム(Rotterdam)エラスムス大学(Erasmus University)で持続可能性・管理・気候変動を研究するゲイル・ホワイトマン(Gail Whiteman)教授は、この脅威を「見えざる時限爆弾」と呼ぶ。「この1つの効果だけの平均的影響は60兆ドル(約6000兆円)におよぶが、これは2012年の世界経済全体の価値、70兆ドル(約7000兆円)に近づいている」
この多大なコストは気候システムへの損害として現れ、洪水、干ばつ、暴風雨などの悪化につながるという。(c)AFP