【7月22日 AFP】米国の戦闘機が演習中、世界最大のサンゴ礁、オーストラリアのグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)に「緊急の機外投棄」で、起爆しない状態の爆弾4発を投下した。関係当局が21日に明らかにした。一般人や環境に危険が及ぶ恐れはないという。

 豪クイーンズランド(Queensland)州では、米軍と豪軍約2万8000人が参加する共同軍事演習「タリスマン・セイバー(Talisman Saber)」が、15日から来月5日までの日程で行われている。

 米海軍第7艦隊によると、AV-8Bハリアー(AV-8B Harrier)戦闘機2機が16日、クイーンズランド州沖にある海洋公園に爆弾を投下した。同艦隊は「緊急の機外投棄のために選択した地域は、グレートバリアリーフを損傷する可能性を最小限に抑えるため、同リーフから離れた水深の深い海峡とした。水深は約50~60メートルで、海運や航行船舶に危険が及ぶことはない」との声明を発表した。

 ハリアー戦闘機2機は当初、近隣の島にあるミサイル試射場に爆弾を投下する予定だったが、何度か試みたものの失敗に終わった。計画した演習ミッション中に爆弾を使い切ることができなかった上、あらかじめ指定した機外投棄エリアに到達するために十分な燃料が残っていなかったため、起爆しない状態の爆弾を機外投棄したという。

 オーストラリア国防軍(Australian Defence Force)の報道官は、豪AAP通信(Australian Associated Press)の取材に対し、今回の爆弾が及ぼす「一般人、海洋環境、同リーフ海域を通過する民間船舶へのリスクや脅威は最小限」と述べ、「今も将来も何の危険もないことを確実にするために、米軍、豪政府および環境団体と緊密に連携して対処している」と語った。

 米第7艦隊によると、米国および豪州当局は、今回投下された爆弾の位置を表示した最新の海図ができるまで、船舶航行に関する適切な警告を出す意向だという。(c)AFP