【7月9日 AFP】中国北部で1980年代まで導入されていた冬季の石炭配給制度が、住民の寿命を5年以上も縮めていたとの米大チームによる研究論文が8日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 論文主筆者の米マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)、マイケル・グリーンストーン(Michael Greenstone)教授(環境経済学)によると、中国では1980年までの数十年間、中部を流れる准河(Huai River)以北の家庭や事務所に暖房用の石炭を無料で支給する政策がとられていた。だが、その結果、准河以南と比較して北部では大気汚染濃度が最大55%も高く、住民の平均寿命も5.5年短くなったという。

 MIT研究チームは1981~2001年の期間について、石炭を燃やした際のすすや煙に含まれる大気浮遊粉じん(TSP)の濃度を調べたところ、北部の方が最大55%高かった。

 次にチームは、准河の以北、以南双方について1991~2000年の死亡統計を分析した結果、石炭無料支給地域での寿命の方が短いことを発見した。「長期間にわたる大気汚染、特に大気浮遊粉じんにさらされることが寿命を著しく短縮すると、より強い確信をもって言える」とグリーンストーン氏は話した。

 同政策の影響を受けた人々は准河以北の5億人に上り、計25億年分の寿命が失われた計算になるという。(c)AFP