【6月11日 AFP】中国の裕福な沿岸部で消費される製品に関連した二酸化炭素(CO2)排出量のうちの8割が、発展度が比較的低い内陸部に起因しているとする研究結果が10日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)で発表された。

 世界最大のCO2排出国である中国は、2020年までに国内総生産(GDP)当たりのCO2排出量を2005年比で40~45%削減すると誓約している。

 だが今回の研究によると、中国による温室効果ガス削減の現在の取り組みは、その対象を汚染度が最も高い地域に設定しているため、十分な成果を上げることができないという。

 2007年に中国が排出した化石燃料由来のCO2量のうち、最終的に生産地とは別の省や国外で消費される製品の生産に由来したものは計57%に上った。

 また、北京(Beijing)や天津(Tianjin)、上海(Shanghai)、広東(Guangdong)省などで消費される製品に関連するCO2排出量のうち、最大80%が発展度の比較的低い中部や西部の省で生産された製品に起因しているという。

 だが中国は、2015年までの炭素排出量増加分の削減目標を、西部ではわずか10%減、東部沿岸では19%減と設定している。

 米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)で気候変動について研究するスティーブ・デービス(Steve Davis)氏は「最も安価で簡単な(CO2)削減への道は、小規模な技術改善のみで大きな成果を得ることが可能な内陸部の省にあるゆえに、これは残念なことだ」と述べている。(c)AFP