【5月28日 AFP】水質汚染や水の無駄遣いといった問題が放置されれば、地球上に住む人の大多数が、この先1~2世代の間に深刻な水不足に直面するだろう──。独ボン(Bonn)で開かれた水資源に関する国際会議で25日、科学者たちがこう警鐘を鳴らした。

 4日間にわたる会議の最終日に発表された声明「ボン宣言(Bonn Declaration)」は、「この障害は(人類が)自らが招くものである一方で、完全に回避可能だと、われわれは考えている」と述べている。

 この会議は、地球上に存在する水の全容積のわずか2.5%に当たる淡水に、人間が与える影響についての証拠を評価するもの。参加者らによれば現在、地球人口70億人の3分の1が、適切な真水の利用を制限されていると推計される。

 世界人口は2040年前後に90億人に達すると広く予測されているが、宣言では「1~2世代という短期間のうちに、世界の90億人のうちの大多数が、淡水への深刻な圧力という困難の下で暮らすことになる」と警告している。

 会議を主催した研究団体「国際水システムプロジェクト(Global Water System Project)」の共同議長、チャールズ・ボロスマーティ(Charles Vorosmarty)氏によると、すでに世界で約10億人が、急速に枯渇に向かっている有限な水資源に依存している。同氏は「われわれは水の状況を評価できる観察用ネットワークや衛星システムを作るという、必須の責務を果たしていない」と述べ、研究のための資金面・技術面の支援強化を訴えた。

 国連水関連機関調整委員会(UN-Water)によると、地球には3500万立方キロメートルの淡水が存在するが、そのうち70%は氷や万年雪、30%は地下水で、人間が使用できる真水の97%は地下水に頼っている。湖や河川の淡水はわずか0.3%ほどだ。

 専門家によれば、世界では毎年約3800立方キロメートルの淡水が水界生態系から抽出されており、これには地球温暖化が影響しているという。(c)AFP