【5月13日 AFP】ロンドン(London)の6つの区から出た50年分のごみが埋め立てられた埋立処分場が希少な鳥、ハチ、爬虫(はちゅう)類のための広さ120エーカー(約49ヘクタール)の自然保護区に姿を変えた。

 ロンドン東部のテムズ(Thames)川河口北岸のマッキング(Mucking)に11日、サロック・テムズ河岸自然公園(Thurrock Thameside Nature Park)が、長年自然番組の制作を手がける英動物学者デービッド・アッテンボロー(David Attenborough)氏によって正式に開園した。

 自然保護団体「エセックス・ワイルドライフ・トラスト(Essex Wildlife Trust)」がこの地を草原、森林、池、アシ群生地に回復。ヒバリ、クサリヘビ、マルハナバチの一種、ミズハタネズミなどの希少種や絶滅の恐れのある種を引きつけていてる。

 全国47の地方自然保護団体を代表する「ワイルドライフ・トラスト(The Wildlife Trusts)」によると、自然保護区は最終的に845エーカー(約340へクタール)まで拡張する予定。これは、ロンドンのリージェンツパーク(Regents Park)の約2倍の広さに相当する。

 ワイルドライフ・トラストによると、自然保護区は深さ30メートルの「パイ状」の埋立処分場の上に作られた。園内のビジターセンターには建物の下に埋め立てられたごみを安定化するための油圧ジャッキが設置され、公園内には網目状に広がる遊歩道、乗馬道、サイクルロードが整備されている。

 ワイルドライフ・トラスト名誉会長のアッテンボロー氏は「われわれは過密した国に暮らしており、維持していくためにはその限界を顧慮する必要がある。このような好ましい変化が模範となるべきだ──英国全土のワイルドライフ・トラスト(地方団体)はその実現に尽力している」と語った。

 埋立処分場の所有会社によると、首都ロンドンのごみは今もテムズ川を船で運ばれてくるが、現在は「廃棄物エネルギー化」処理場で処理され、10万戸に電力を供給するのに十分な発電を行っている。(c)AFP