【5月13日 AFP】フランスとスペインにまたがるピレネー山脈(Pyrenees)に生息する熊の数は昨年、雄の老ヒグマ「ピロス(Pyros)」の生殖能力のおかげで、少なくとも22頭と、横ばいを保った。

 フランス国立狩猟・野生動物事務局(ONCFS)の報告では、誰もが認めるコロニーの「父さん熊」ピロスは24歳で、ヒグマの平均寿命にほぼ近づいているが、2012年には2頭の雌熊との間に3頭の子熊をもうける精力をまだ持っていたという。

 狩猟により絶滅直前まで数が減ったヒグマの生息数を維持する取り組みの一環として1997年、ピロスがピレネー山脈に放たれた。それ以降、ピロスとその子どもにより推定20頭の子熊が生まれたが、ピロスの支配はコロニー内の遺伝的多様性についての懸念を生んでいる。

 ONCFSによると、2013年中には6頭の雌熊が出産可能となるが、ピロスの高齢を考えると、別の3頭の雄が父親の役割を引き継ぐ見込みだという。そのうちピロスと血縁関係にないのはバロウ(Balou)1頭だけだ。 繁殖のため雌熊を放つ案もあったが、2011年に地元農民たちの反対によって棚上げとなった。

 ONCFSの報告によると、2012年の熊による家畜の被害は135件で、272頭の動物が殺されるか傷つけられている。一方、ミツバチの巣箱の襲撃はまれになり、4件にとどまった。(c)AFP