【4月29日 AFP】気候変動問題で、中国は米国と並ぶ世界の指導的立場を急速に確立しつつあるとする新たな研究報告が29日、発表された。同時に報告書は、世界の温室効果ガス排出量が強い増加を続けていると警告している。

 オーストラリアの独立機関、気候委員会(Climate Commission)が出した「重大な10年:気候変動に関する国際的行動(The Critical Decade: International Action on Climate Change)」は、過去9か月の各国の行動の概要を示している。報告書は、ドイツのボン(Bonn)で気候変動問題の対策強化についての国連(UN)会議──手続きをめぐる争いと国益擁護に悩まされた20年間に及ぶプロセス──が開幕した日に発表された。

 報告書によると、すべての主要国が問題に取り組む政策を出しているが、対策の強化においては「再生可能エネルギーをミックス(エネルギー構成)に加えるために野心的歩みをしている」中国が先頭に立っている。報告書の共著者で気候委員会委員長のティム・フラナリー(Tim Flannery)氏は、「中国は電力需要の伸びを半減させ、再生可能エネルギー供給能力を劇的に高め、温室効果ガス排出の増加量を予想より早く減少させた」と語った。

 また、フラナリー氏は、「再生可能エネルギーは世界規模で急増している。わずか1年のうちに太陽光発電能力が42%、風力が21%増加した」と述べ、「クリーンエネルギー時代の幕開け」と語った。

 だが一方で報告書は、「対策はまだ不十分」と述べ、「この10年で、2050年までに温室効果ガス排出量をほぼゼロにするための基盤を確立しなければならない。その行動が早ければ早いほど破壊的な影響は減り、コストも低減される」と提言した。(c)AFP/Martin Parr