【4月15日 AFP】イタリアの水の都ベネチア(Venice)が14日、ひとときの静寂に包まれた。いつもは市内の主要水路、カナル・グランデ(Grand Canal、大運河)を忙しく行き交うモーターボートの通行を、午前10時から午後3時までの5時間、当局が禁止したためだ。ボートの波による建物の損傷と騒音公害に対する認識を高めるのが狙いだという。

 ボートの通行禁止時間中に水路の横断を希望した人には、ゴンドラに無料で乗れるように市が手配した。

 人口5万8000人のベネチアはイタリアの主要な観光地で、年間約2000万人の観光客が訪れている。

 ボートの速度は厳しく制限されているものの、市内にあるルネサンス期の建物の壁面は、地球温暖化による水位上昇の影響も相まって、ボートが引き起こす波による損傷の脅威に常にさらされている。沼地の地盤に打ちこんだ木杭の上に基礎を築いたベネチアは、何世紀にもわたって徐々に地盤沈下が進んでいる。(c)AFP