【4月9日 AFP】地球温暖化の影響で、民間旅客機が飛行する高度での気流が不安定になり、飛行機の揺れが激しくなるとの研究論文が8日の英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された。
 
 論文を執筆した気候科学者らによると、これまでも乱気流による機体の揺れで毎年、何百人もの乗客が負傷しており、致命傷に至るケースもあった。激しい揺れで機体も損傷を受け、航空業界が負うコストは1億5000万ドル(約149億円)に上るという。
 
 共同執筆者で、英レディング大学(University of Reading)大気科学センターのポール・ウィリアムズ(Paul Williams)氏はAFPに電子メールで「気候変動は単に地球の表面を暖めることではなく、飛行機が飛ぶ高度10キロの気流を変える」と説明。「大気が不安定になりやすくなり、晴天乱気流の発生につながる」と述べ、「今後数十年でシートベルト着用サインがより頻繁に点灯することになる」との見解を示した。

 晴天乱気流は、気候変動を促すと考えられているジェット気流と関係している。研究者は、スーパーコンピューターを使って北大西洋航路におけるジェット気流のシミュレーションを行った。欧州と北米を結ぶ同航路は一日当たりの便数が合計約600と、世界で最も運航数の多い航路の1つで、ジェット気流の影響を受ける。

 ウィリアムズ氏によると、二酸化炭素は不均一な温度上昇を招き、これがジェット気流を強める。シミュレーションの結果、大気中の二酸化炭素濃度は産業化以前の水準の2倍だった。

 今後40年以内に、標準的な巡航高度で起こる揺れは10~40%強くなる見通しという。揺れは歩行が困難なほど強く、2050年までに大西洋航路での揺れの頻度は2倍になることが予想される。(c)AFP