【4月8日 AFP】台湾の新北市(New Taipei City)で、プールなどの建設に伴う樹木の移植に反対する男性が3月下旬から樹上に居座って抗議を続けている。男性は、市が問題の計画を中止するまで抗議を続けると宣言している。

 台北(Taipei)の衛星都市である新北市当局は、同市板橋(Panchiao)地区にある中学校に水泳プールと地下駐車場を建設する計画を立てた。建設費用は3億1000万台湾ドル(約10億円)と見積もられている。

 自然保護団体や一部の近隣住民、同校の卒業生や教師などから反対があったにもかかわらず、建設業者は先月下旬、建設予定地の校庭にある樹齢40年の木32本のうちの5本を移動させる作業を開始した。

 活動家の潘翰彊(Pan Han-chiang)さん(46)はこれに抗議するため、3月28日に移植対象の木の1本に登り、現在まで降りるのを拒否している。食事と水は支援者らが地上から差し入れている。この座り込みにより市の計画の準備工事は中断を余儀なくされた。

 市当局は、市民の要請に応えるために策定した計画であり、32本の木はすべて別の場所に移植する予定だとしているが、反対派はプールも地下駐車場も不要だとした上で、プール、ましてや地下駐車場を建設するために木を移動させるという考えに疑問を呈している。成木の多くは移植に耐えられないとみられる。

 潘翰彊さんは「この木は、中学校から巣立っていった何万人という卒業生全員の思い出の一部になっている。彼らの思い出を捨て去ってしまうなんてひどい話だ」と述べている。(c)AFP