【3月29日 AFP】ユネスコ(UNESCO)の世界遺産に登録されているフィリピン沖の海洋公園内で1月にサンゴ礁に座礁したままになっていた米海軍艦の撤去作業が、事故発生から10週間以上を経てようやく最終段階に入った。トゥバタハ岩礁海洋公園(Tubbataha Reef National Marine Park)当局が28日、明らかにした。

 米海軍第7艦隊の掃海艦ガーディアン(USS Guardian、全長68メートル)は1月17日、同海洋公園内のサンゴ礁に乗り上げ、身動きが取れなくなった。海洋生物の宝庫である世界遺産のサンゴ礁で起きたこの事故に、フィリピンでは旧宗主国である米国に対する非難が高まっていた。

 サンゴ礁内でガーディアンをけん引すれば、さらにサンゴ礁を損傷する恐れがあることから、米政府もガーディアンの解体撤去に同意。2月26日から2億7700万ドル(約260億円)もの費用をかけて解体作業が始まったが、悪天候で作業が遅れていた。

 トゥバタハ岩礁海洋公園当局によると、ガーディアンの船体から船首を切り離し、引き揚げ船で撤去する作業が28日までに終了。好天候が続けば、週明け4月1日までに船体全ての撤去を完了できる見通しだという。

 撤去完了後、フィリピンと米国の合同ダイバーチームが現場に潜り、サンゴ礁の損傷度を調べる。

 米政府は座礁事故について謝罪する一方、事故原因は海図に不備があったためと説明している。フィリピン政府は罰金を科す方針だ。(c)AFP