【2月25日 AFP】地球温暖化による気温上昇で、オーストラリア北部や東南アジアなどでは屋外作業の生産性に大きな影響が出るとした米国の研究論文が24日、英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に掲載された。

 研究は米国海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)地球物理流体力学研究所(Geophysical Fluid Dynamics Laboratory)のジョン・ダン(John Dunne)氏らが気温と湿度上昇と、その屋外労働への影響をシミュレーションしたコンピューターモデルを用いて行ったもの。

 チームは1960年までの100年間の平均気温および平均湿度を基準として比較し、2050年には気温が1.4~1.7度、湿度が11%上昇するとの予測結果を導いた。

 屋外で一定の作業効率を保つ労働能力に関しては、直近の数十年間では気温と湿度上昇により最も気温が高い月の労働能力は10%減少すると記録上ではなっているという。だが2050年の労働能力は20%まで下がるとチームは警告する。なかでも農業従事者、建設作業員、兵士が高温多湿化の影響を強く受けるという。

 地域別ではアラビア半島、インド亜大陸、東南アジア、オーストラリア北部、米ミシシッピ川(Mississippi Valley)下流域までを含む広範囲のカリブ地域で、労働能力が大きく下がるという。

 研究チームが用いたコンピューターモデルは、気温や湿度のほかにも労働能力に影響しうる技術革新や二酸化炭素排出量の変動などの要因は考慮していない。(c)AFP