【2月4日 AFP】中国を覆っていた息の詰まるようなスモッグが日本の一部地域でも確認されたことを受け、関係当局や専門家らは4日、子どもや呼吸器が弱い人の健康への影響について警鐘を鳴らした。

 環境省高官によると、同省の大気汚染物質観測システムへのアクセスが前週から激増しており、また健康への影響に不安を持つ人びとからの電話もひっきりなしにかかってくるという。前週以降、国内では中国の都市部を覆う、ぶ厚いスモッグの様子が多く放送されていた。

■九州で基準値上回る微粒子

 国立環境研究所(NIES)の清水厚(Atsushi Shimizu)氏によると、西日本の大気汚染は過去数日間、政府の定めた基準値を上回っているという。特に、直径2.5マイクロメートル以下の粒子の濃度が懸念されており、九州北部では過去数日間、最高で1立方メートル当たり50マイクログラムほどに達していた。政府の定める基準値は35マイクログラム。

 この粒子の発生源は、中国やモンゴルの砂漠地帯から飛来する黄砂の他、車の排ガスや工場からの煙など。清水氏によれば、この時期に飛来する物質は黄砂ではなく有害な粒子であるため、呼吸器が弱い人は注意が必要とした。

 別の大気汚染観測システムを運用する九州大学の竹村俊彦(Toshihiko Takemura)准教授によると、中国から飛来する汚染大気の問題については、科学的に10年以上前から指摘されていた。特に九州では、数年前から日常生活の中で大気汚染を確認できるほどになっているという。(c)AFP/Kyoko Hasegawa