【1月21日 AFP】世界遺産に登録されているフィリピン沖のトゥバタハ岩礁海洋公園(Tubbataha Reef National Marine Park)内で、米海軍の掃海艦がサンゴ礁に乗り上げ、前週から身動きが取れなくなっている。フィリピン当局は21日の記者会見で、座礁した掃海艦が公園側の警告を無視してサンゴ礁のある海域に進入したことを明らかにした。

 座礁したのは、米海軍第7艦隊に所属する掃海艦ガーディアン(USS Guardian、全長68メートル)。米海軍によると事故当時、マニラ(Manila)北部を出航しインドネシアに向かっていた。

 トゥバタハ岩礁海洋公園を管轄するフィリピン政府のアンジェリク・ソンコ(Angelique Songco)担当官によると、公園保護官らは17日、ガーディアンに無線で同艦がトゥバタハのサンゴ礁に接近していると知らせた。ところが、ガーディアンの艦長は米大使館に苦情を申し立てると反発。ほどなくガーディアンはサンゴ礁の一部に乗り上げ座礁したという。この事故について米海軍は謝罪したが、フィリピン国民は怒りを募らせているという。

 フィリピン西部パラワン(Palawan)島の南西130キロ沖のスル海(Sulu Sea)に広がるトゥバタハ岩礁海洋公園は、ユネスコ(UNESCO)の世界遺産に登録されており、フィリピン政府は当局が承認した研究および観光を除いて立ち入りを法律で禁止し、サンゴの礁の保護に努めてきた。

 ソンコ担当官によると米海軍には罰金が科せられる見通しだが、座礁したままのガーディアンは大波を受けて揺れており、サンゴ礁への損傷がどの程度になるか、罰金が幾らになるかは現時点では不明という。(c)AFP