【11月12日 AFP】繁殖率の低さと生息地急減のため絶滅の危機にあるジャアントパンダが、今度は主食の笹を失う危険にさらされているとの研究結果が11日、英科学誌「ネイチャー・クライメートチェンジ(Nature Climate Change)」に掲載された。米国と中国の共同研究チームによると、野生のパンダの約5分の1が生息する中国北西部・秦嶺山脈(Qinling Mountains)では温暖化のため今世紀中に竹が急減するとみられ、「代替食糧を確保できなければパンダが餌不足に陥る恐れがある」という。  パンダは1日あたり38キログラムの笹を食べる。餌の99%が笹で、竹林が繁茂する場所を生息域とするが、竹は30~35年に一度しか開花せず繁殖速度が遅いため、環境の変化に適応するのも遅い。 ■現在のパンダ保護区は竹がほぼ全滅か  研究チームは国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)による温暖化予測モデルと、降雨量や温室効果ガス排出量、過去の竹の生育状況といった各種データを照合。温暖化が進めば、秦嶺山脈のパンダの餌のほぼ全てをまかなっている3種の竹が全滅すると予測した。 「21世紀中に、この地域のパンダ生息地のほとんどが消滅する可能性が示された」と論文は警告している。  竹は世界的にも種のおよそ半分が絶滅の危機にある。研究チームによれば、竹の分布はこれまでも気候変動に伴って変化しており、この先、竹の生育に適した場所が現在のパンダ保護区から遠く離れた場所に変わってしまう可能性が高いという。  研究チームでは、今回の研究結果を活用して「気候が変わっても十分な餌を確保できる地域を保全したり、パンダを笹不足から救う自然の「架け橋」を作る準備をするなど、将来の危機を見越した計画を立てるべきだ」と訴えている。(c)AFP